・ ページ5
とは言っても、両手は繋がれたままだし、全身あまり力入らないし。
やば、詰んだかも。
「は、漸く観念したか――がっ!」
少しだけ意識がはっきりと覚醒する。ドアがバキッという音を立てて倒れたかと思えば、目の前の男が吹っ飛んで行った。ぱちり、と瞬きをして破られたドアの方に目をやると。
「無事か!」
「オ、マエ、何で……」
彼は取り出した呪霊に男を食わせて、此方に駆け寄ってくる。そしてあたしの額に手を当てた。ひんやりしていて気持ちいい。
「ほらやっぱり熱ある」
「ない」
「ある」
「ないってば」
「じゃあこの熱さは何だ」
「何で怒ってんの……意味わかんないし」
一方的に怒られて、イラッとした。確かに今朝から怠さとか頭痛とかあったけど、呪術師は万年人手不足。そんなことで休む訳にはいかない。五条Aが、そんなことで。
「どうして自分をもっと大切にしないんだ?今だって襲われそうになってたのに」
まるで保護者のような口振りで説教してくるそいつに、唇を噛み締める。
「……アンタに何が分かんの」
「は?」
「アンタに何が分かんだよ!皆あたしより弱い癖に!」
初対面の時とは打って変わって叫び散らすあたしに、彼は呆気にとられたように呆然としている。その時、呪霊に食われていた男の声がした。
「そいつは、人間じゃない!」
振り絞るようにして出した言葉はそんなものだった。死にそうだってのに、そんなにそれを言いたかったの?
一発殴ってやりたい思いに駆られるが、あいつはもう瀕死状態だ。彼がどんな顔をしているか見るのが怖かった。何も言わない。夏油も、そう思っているのかもしれない。五条Aは人間じゃないって。
「君は、人間だよ」
170人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「呪術廻戦」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ただのバカです - 作品読ませて頂きました!こ、更新ってもうされませんか?俺この話結構好きで。リクエスト募集してたらなんですけど、禪院直哉くんお願いしていいですかね?直哉くんデレデレでもええですよ!読んでくれてるか分かりませんが続き楽しみに待ってます。 (2022年10月27日 20時) (レス) id: 37480b1f74 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:みるくてぃー | 作成日時:2021年3月15日 12時