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それから数日後。早くも二人の合同任務がやってきた。あからさまに嫌な顔をする彼女と取り敢えず現場に向かう。いかにも呪霊が集まりそうな廃ビルに着き、隣の彼女をちらりと見遣ると、そこで頬にガーゼが貼ってあるのに気が付いた。家入が不在だから治して貰っていないのだろうか。
「その怪我、どうしたの?」
「……別に、ちょっとぶつけただけ」
「大丈夫なのかい?」
真面に会話したのは何日ぶりか。私が大丈夫かと聞けば、彼女は怪訝な顔をして「いきなり何?」とキレ気味に言う。自分より小さい女の子に言われても正直怖くもないが、それを言えばもう一生仲良くなれない気がするので言わないでおく。
「全然かすり傷だから」
「そう?ならいいけど。君は女の子なんだから――」
言った途端、彼女の顔から表情が抜け落ちた。それに気が付かない程鈍くはない。やってしまったと感じた時にはもう遅く、次に顔を見れば思い切り歯を食いしばった彼女が此方を睨んでいた。
「あたし、女扱いされるのいっちばん嫌いなの。あたしより弱い癖にそーゆー事言うのやめてくれない?」
これでも抑えた方だとでも言うように、彼女が握りしめた拳が震えていた。そのまま此方を見ることもなく、つかつかと一人ビルの中に入っていく。その足取りが微かによろめいているのに気が付いた。そう言えば、話している時も少し顔が赤くなっていた気がする。まさかとは思い、
「五条……さん、待って」
急いで声をかけたが、その背中が止まることはなかった。そりゃあそうか、とさっき言ってしまった言葉を後悔した。御三家のことはよく知らないが、古い伝統を大事にする家なら、女性の扱いがどんなものかは察することが出来た筈だったのに。
「仕方ない、さっさと祓って帰るか」
いつまでもここにいる訳にもいかない。帰ったら謝ろうなんて思いながら、自分もビルの中に入った。
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ただのバカです - 作品読ませて頂きました!こ、更新ってもうされませんか?俺この話結構好きで。リクエスト募集してたらなんですけど、禪院直哉くんお願いしていいですかね?直哉くんデレデレでもええですよ!読んでくれてるか分かりませんが続き楽しみに待ってます。 (2022年10月27日 20時) (レス) id: 37480b1f74 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みるくてぃー | 作成日時:2021年3月15日 12時