第三十三話 水side ページ35
「何の為に来たの?貴方達は。」
……
……。
ーー……
20××年。
俺達は大事な仲間を失った。
あの大惨事のせいで。
生き残ったのは彼等を除いた俺達。
といっても、過去や未来に飛ばされて生き残っただけなんですけどね。
××さんは生き残った人達の中でも一番重傷で全治するのに時間がかかったし、昏睡状態だった。
××さんが目覚めなければ、こんなに苦しい思いをしなくて済んだのだろうか。
『ーーふざけんな!!』
貴方が目覚めた時。そう叫んでいましたね。
俺は過去から未来へ連れてかれて。
久しぶりに見た貴方は病室でひたすら狂ってた。
『なんでーー!!失わなきゃいけないんだ!!なんで!!俺だけが!!』
貴方がそう叫ぶ度に。俺も苦しくなってくる。
確かに。こんな状況誰だって叫ぶに決まっている。
でも、こんな未来。俺は受け入れたくない。
失いながら生きていかなきゃいけない。
そう分かってても。受け入れたくなかった。
ーー……
『ねえ。××ちゃん。』
貴方がやっと落ち着いてきた時に、そう言いましたよね。
『あの大惨事から彼等を救おう。』
貴方は禁忌を犯そうとした。
禁忌とは。
過去と未来を強引に改ざんする事。
『苦しいんだ。生きる事が。彼等の居ない世界で生きる事が。』
俺だってそうですよ。でも、失いながら生きていかなきゃいけない。
そう言いたくても言えなかった。
だったら、どうすれば良かった?
貴方を止めれば良かったんですか?
でも、貴方を止めることで貴方が生きる事をやめてしまったら?
『過去を変えよう。』
貴方を止めれなかった。
禁忌を犯そうとした貴方を。
ーー……
『お前……正気か?』
『正気だよ。救うんだ。彼等を。』
他の人にも。助けを求めた。
俺は見る事しか出来なかった。
見る事しかーー……。
どうすれば良かったんだろう。
他の人もきっと俺と同じ事を思ってただろうか。
ーー……
時間がかかった。
あの少女達に対抗する力を作るのも、過去と現在を繋げる転送装置も。
自分の人生を捧げるぐらい
頑張った。
何度も失いたくないから。
でもーー……。
それでも、過去を変えに来ただなんて、言ってもいいでしょうか。貴方達を救いに、××さんを救いに。
罪を犯してしまった俺達が罰を受ける為に。
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作者名:名無し琲世 | 作成日時:2017年7月26日 21時