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第五十三話 黒side ページ8

意識を失った二人が落ちるのを見届けてしまった。
何で、冒したんだ。
そう問いたくても、問わない。
答えは分かってるから。

この建物も崩れるし、移動しなきゃな。

仮面も壊れちゃったな。
まあ、隠す必要も無くなっちゃったからフードを被らせとけばいっか。

さて、急がないと。
目覚めてしまう。貴方が。

地面に足を付けた途端、再び大きな揺れが生じた。
今回は激しすぎる。なんだろ。

もしかして。
繰り返し過ぎた?
始まりの罪から何回もこの世界を壊してきたんだ。

「僕は貴方を救いたい。」

それだけ。
それが無かったら僕に生きる価値なんてない。

「はあ。」

僕にだって大切な人はいた。
もう居ないけど。
貴方よりも大切でかけがえのないもの。

「白。水。」

あの二人が何度もこの世界を壊してきた。
償いきれない程の罪を重ねてまでも。
それほど大切な人だったんだろうな。

「いや、大切な人でも。」

大切な人なんだろうけどさ。

「した事は禁忌を冒してしまってるんだ。」

償いきれない。許される事の無い罪。

「きれいごとばっか並べていても、所詮は僕も罪を冒してる。」

僕は貴方に罪を押し付けてしまったという罪を。

ごめん。
謝罪しか思いつかない。
僕は何をすればいい?

「ら……楽。いや、楽しむこと?自由に生きること?」

生きる理由が見つからない。
全てを失ったというのに、何故僕は生きてる?

ダメだ。

「とんでもない。そんなことを考えるだなんて。」

僕が生きる理由は魔法少女。あの二人から貴方が残したものを守る。
生きる理由があるじゃないか。

邪魔するな。

今度こそは貴方を救う。
僕の生きる理由。

早く行かないと。
あの山に。
始まりの地に。

雪が僕の邪魔をする。
邪魔するな。
早く止んで視界をスッキリしたい。
タダでさえ仮面無いんだからさ。

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作者名:名無し琲世 | 作成日時:2017年9月12日 17時

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