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第八十六話 星翔side ページ41

……おい。本当に出て行きやがったあの二人。
医学の知識があるのは僕だけなのは事実だが、普通置いていくか?あの野郎

相手が男ならまだしも女。
どう対応すればいいんだよ。

「えっと……。」

『星翔。健康診断ってなに?』

その質問が先なのか。
とりあえず日本語は分かるっぽいな。
結晶の中にいたのは最近か?かなり昔だったら会話に困るって思ったんだけど。

「うーん。元気かどうか調べるって感じかな。」

『そうなの。』

「先に体温測るから。おでこ出して。」

『おでこ?』

あ、体の部位は分からないのか。
おでこって簡単に言ったつもりなんだけどな。額とかよりは。

「僕の真似をして。」

『ん。』

前髪あってよかった。
無かったらもっと分かりにくかったかな。
とりあえずおでこ出してくれたから機械を当てた。

すると、この子も僕の真似をしておでこに手を当ててきた。
すっごい冷たい。

「いや、これは真似しなくても。」

『真似してって言った。』

「そうだけどね。」

違う。そうじゃない。
確かに言ったけど違うんだ。

体温も測って、次々と診断を済ませると、突然彼女がそんなことを聞いてきた。

『ねえ。なんで人間は温かいの?』

「……人間だからだよ。」

ちょっと言ってる意味が分からなかった。
人間は?
とりあえずそう返しておいたけど。

『そう。私もそうなりたかった。』

「……見目は人間だよ。どこから見ても。」

『化け物なの。私は。』

人間になれなかった化け物?
よく分からないけど面白い。
こんなにも儚くて綺麗な女が化け物だなんて。信じるか。そんなもの。

「……とても白いんだね。君は。」

『……?』

いや、なぜそう言ったんだ。僕は。
こんなの……まるであれじゃないか。

「いや、見目も心も真っ白で綺麗だなって。」

『……! 』

「……そんな貴方を化け物なんて呼ぶわけがない。」

『そう。覚えてないけど、昔。貴方に似た人にそういうこと言われたなって。』

昔?
僕に似てる人?
……どんな人だったんだろうな。

「……君はどうやって生きてきたの?」

なんか、彼女の人生を知りたくなった。
なぜ結晶に閉じ込められていたのか。
なぜ、そんなに綺麗で自分のことを化け物と自虐するのか。

『ごめんなさい。覚えてないの。』

「……そうか。ごめん。」

彼女はそれを言いたくなかったのか理由を付けて断られた。
そんな気がした。

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作者名:名無し琲世 | 作成日時:2017年9月12日 17時

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