第八十五話 ？？side ページ40
《アレが例の罪人。》
《アレが禁忌を冒した女。》
嫌。
嫌だ。やめて。
そんなこと言わないで。
変な目で見ないで。
《アレが世界を滅ぼした女。》
《人間じゃない。化け物だ。》
私は。人間になりたかった。
でも、なれなかった。
私が世界をこんなふうにしてしまったから。
私が世界を壊してしまったから。
ーー人間が罪を冒した。
ーー代わりに私がその罪を償う。
ーーだから。
ーー彼等に罰を。
ああ。あの子達は今どうなってるのだろう。
私の愛おしい子供達。
私の愛おしいあの子達。
あれ？
どんな名前だっけ？
あの子達の名前。
ーーーー！！！
『……？』
……壁？
ここどこ？
何か変なものばっかり並んでいる。
「あ、星翔ー。浅野ー。目覚めたよ。」
「大丈夫？起き上がれる？」
『……誰？』
知らない人が三人？立っている。
手や足には何かが繋がれていて動きにくい。
「んー。君を研究させてもらってる人かな。」
研究？なにそれ。
「あ、僕白石星音っていうんだ！よろしくね。」
「星……音？」
星音？
「俺は浅野碧斗。ほら。桐崎も。」
碧斗……。
なんだろう。
どこかで聞いた。懐かしいような気がする。
でも。分からない。
「……桐崎星翔。」
星翔。
《ーーとても白いんだね。》
ーーｯ！！
『……ｯ！あ！痛ｯ……』
頭が裂けるように痛い。
なんか電撃が通ったような。そんな感覚。
「ちょっと！星翔！なにしたのさ？！」
「いや、僕。何にもしてないから……。」
「こら。二人ともやめなって。」
……星音。碧斗。星翔。
ダメ。思い出せない。
懐かしくて、とても温かい気持ちになる。
なんだろう。
どこかで会った気がする。
星翔。星音。とてもそっくり。双子みたい。
「大丈夫？」
碧斗と名乗った人が話しかけてくる。
ええと。
『……大丈夫。』
「改めて。俺達は君を研究させてもらってる研究員。分野は天体物理学、物質科学関係なんだけど、今回は特例なんだ。」
難しい言葉が出てきてる。
天体物理学？物質科学？
よく分からない。
「ちょっとー。浅野。この子にはまだ難しいんじゃない？それ。」
「うーん。だよなあ。」
何言ってるのか分からないけど、私を使って何かをしてるのはなんとなく分かる。
「とりあえず健康診断しよっか。星翔任した。」
「俺達ちょっと準備あるから一回出るわ」
「は？ちょ、待っ」
星音はそう言って碧斗と一緒にどっかに行ってしまった。
星翔は困った顔をしていた。
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作者名：名無し琲世 | 作成日時：2017年9月12日 17時
