第八十二話 星翔side ページ37
「！！」
「あ。起きた。」
視界に映ったのは元気そうにニコニコしてた徹兄だった。
夢だったのか。
「随分と魘されてたけどだいじょーぶ？」
「なんか。悪い夢見ちゃって。」
夢にしては生々しくてなんか不気味。
あの方っていうのも誰なのか結局分からなかった。
「ふーん。岩ちゃんもAも起きたから星翔も起きなよ。」
時計を見るともう昼回ってた。
寝過ぎた。
「分かった。」
……で。こうなるわけ。
リビングで一兄がバタバタしていた。
「いっちゃん……み、水ぅ」
「お姉さん昨日のは流石に飲み過ぎでしょ。」
「だってぇ……。久しぶりに集まったんだもん……。」
水をごくごくと飲み込んでいるけど、まだ表情は青い。
いつも元気なお姉さんでもその様子を見るのは初めてかも。
悔しくて泣く時は見た事あるけど、苦しそうにしてるところとかは見たことない。
僕より酷いんだろうな。二日酔いが。
「そういえば。星翔。さっきからスマホ鳴ってたぞ。」
ん？まじ？
ああ。連絡無しで休もうとしたからその件だろーな。
学生時代の同期からは全く掛かってこないし、同窓会とかも行ったことない。
どう考えても青葉城西OBか浅野か星音の三択。
「もしもし。」
『あー！やっとかかったか！』
ほらな。やっぱり浅野だと思った。
星音じゃなかっただけマシ。
というか、上の人からの連絡は一度も無い。
班を作って班ごとに動くのが基本で連絡もその班ごとでやっている。
「誰からだった？」
「仕事仲間から。」
そう答えておこ。
変に答えると怪しまれるし、詮索もされる。
でも、嘘は付いてない。
というか、三人いるし、適当に相槌したり詮索されにくいことでも話して誤魔化すか。
『んーー？お前。今誰かと一緒にいんのか？』
「そうだけど。」
『まあ。別にいーけど、桐崎ほとんど休んでねーもんな。』
無休出勤。
一応休みはあるけど研究所に篭ってばっかりで家に帰るのは大体お正月くらいだな。
これだけ働いてるんだから給料上げて欲しいくらいだよ。
「それだけか？」
『いーや。それがもう一つあるんだな。ビッグニュースだ！』
「なに？」
ビッグニュース？
いい予感もするけど嫌な予感もする。
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『結晶が割れたーー。』
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作者名：名無し琲世 | 作成日時：2017年9月12日 17時
