【Q:K】この先も、ずっと #2【izw】

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『 最近、ずっと忙しかったですもんね 』


「 っ……………… 」


『 仕事が多いと、疲れ溜まっちゃいますよね 』






　どうかしましたか？とか、なにがあったんですか？とか、そういう言葉を使わず、傷についても詮索してこないところに優しさを感じる。俺は嗚咽しながら、意図せず出てきた言葉を紡いだ。






「 最近、クイズ、誤答ばっかでっ、 」


『 うん 』


「 もっと、がんばらなきゃいけないのにっ、できなくて……それで、またっ、まちがえてっ、 」


『 うん 』


「 スタッフさんに怒られてっ、殴られてっ、 」


『 …うん、 』


「 社長なのにっ、みんな、申し訳なくてっ… 」






　こんなの彼女に向かって言うものじゃないとは理解していた。だけど一度開いてしまった口は、心の内に秘めていた弱音をどんどん漏らす。幼い子供のように泣きじゃくる俺を、Aは静かに慰めてくれた。






『 痛かったね、辛かったね、 』

『 きっと忙しくて疲れちゃったんだよ 』

『 もう大丈夫だから、今はたくさん泣こう 』

『 いっぱいがんばったね 』






　言葉の一つ一つが温かくて、優しくて、胸が苦しくなって、思わず目の前の彼女に抱きついた。俺はその肩を涙で濡らし、情けなく泣いて。


　この行動を快く受け止めてくれたAは、俺の背中に腕を回した。落ち着くようにと何十回も擦られ、嗚咽はだんだん大きくなっていく。


　結局そのまま、彼女は俺の意識が夢に落ちるまで、ずっと傍で優しく言葉をかけ続けてくれた。









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　朝。目が覚めると赤褐色の天井が視界に写る。あのあとソファーで寝落ちしたらしく、俺の上には毛布が被せられていた。


　体を起こして周囲を見渡すと、Aの姿がない。代わりにダイニングテーブルからは良い香りがして、空腹状態だった俺は静かに動き出す。


　そこにはラップがされている美味しそうな料理と、おそらく彼女の字であろう一枚の書き置き。






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おはようございます。お加減どうですか?


念のために改めて患部を冷やしてください


お昼までに戻るので、一緒にご飯食べましょうね


Aより


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　美しい筆記のそれを見ると、なぜか気持ちがとても穏やかになる。丁寧に綴られた手紙を机の上に置き、うがいや洗顔を素早く済ませて戻る。水が傷に染みてめちゃくちゃ痛かったけど。









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