BLUE. (ページ3)

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「えっと確か……。キム、だよな。キム·A」

しかもご丁寧に私の名前を覚えていたらしい。周りにこれでもかと言うほど女の子たちが集まっているにも関わらず、興味無い、と物語る顔が意外だと思っていたのに。

『ユン·ジョンハン…さん』

「さん付け？変なの」

変なのはこの人の方だ。階段を下りる私の後を着いてきて、近くのコンビニに向かう私の横にぴたっとやって来る。いらっしゃいませー、とやる気のなさそうなアルバイトのお兄さんがちらりと私たちの方を見て、それから興味無さそうにぼーっとする。お目当てのヨーグルトを見つけた私は、さっさと買って家に帰ろうとレジに向かって歩いた…筈だった。

「なぁ、どれがいいと思う？」

『…は、』

パーカーのフードをがっしりと後ろから掴まれて、引きずられるようにアイスコーナーに連れていかれた。ユン·ジョンハンの持つカゴには既にお酒の缶がいくつも入っていて、その上アイスまで買うらしい。罰ゲームか何かだろうか、と考えて、じゃあなんで私が巻き込まれてるんだ、と疑問に思った。

聞いときながらぽいぽいカゴにアイスを入れてくユン·ジョンハンを不審な目で見ていると、だからどれ、ともう一度聞かれた。お勧めを聞いてるのかと思って、適当によく食べるアイスを指さした。ん、と言いながらユン·ジョンハンはそれをカゴに入れて、それから私の持っていたヨーグルトを奪ってレジに向かった。

『え、ちょっと』

何をしようとしているのか気がついて、少し遅れて追いかけたけど、あのやる気のなさそうなアルバイトのお兄さんは意外にもバイトマスターなのか、素早い手つきでバーコードを読み込んでいき、袋に詰め込んでいった。ユン·ジョンハンはズボンの後ろポケットから財布を取り出してあっという間に会計を済ましてしまった。

『いくらだった？』

見るからに重たそうな袋を持って先を歩くユン·ジョンハンを追いかけながら聞くと、レシート貰ってないから忘れた、と言われてしまった。それでは困るのだ。陽キャ、という言葉があまり好きではないけど、その言葉を借りれば、陽キャの中心人物のユン·ジョンハンと関わりを持ってしまったのだ。