BLUE. (ページ20)

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「キムさん、写真撮ってくれない？」

「ジョンハンくん！写真撮ろー」

慣れないことに戸惑って、ハニの隣に立っていたのに、写真を撮ろう、と腕を引かれてバランスを崩してそのまま連れていかれそうになったところを、ハニが引き止めてくれた。

「写真、撮らないから。俺もAも」

ハニは、そうはっきりと言い放って、私を連れて人混みから離れた。

『ハニ、ありがとう』

「…ん」

ハニと歩くだけで他人の視線がすごい。何だか大変なことになったな、ということはよく分かった。まさか自分がなるなんて思ってなかったから、出場するだけであとは忘れられるだけだと思っていた。

「お前さ、覚えてる？俺が優勝したら、って話」

『うん』

「そのことなんだけどさ」

じっと、ハニに見つめられて戸惑う。私とハニの間に不思議な時間が流れて、息がしづらい。戻ろう、と声をかけようとして、久しぶりに聞く声がした。

「ヌナ！」

声のする方を見ると、背の高い男性がぶんぶんと手を振りながら走ってくるのが見える。まるで大型犬がご主人を見つけて尻尾を振りながら走ってくるかのような…。

『ミンギュ…？』

「ぬなっ！」

「ヌナ？」

そのままスピードを緩めることなく突撃してきたのは弟のミンギュだった。会いたかったよー、と言いながらぎゅっと抱きしめてくる。力が強い。

「何でミスコン出てるの？！ドレス似合ってるよ、優勝おめでとう！でもそんな綺麗な姿、みんなに見せてどうするの！みんなヌナのこと好きになっちゃうじゃん！！」

『ミンギュこそ何でいるの？』

「ひどい！夏休みにヌナが帰って来なかったからじゃん！」

『だって、ミンギュ受験勉強で忙しいと思ったから。邪魔しちゃ悪いかなって』

「ヌナが邪魔になるわけないよ！」

「…説明して」

ヒョンかっこいいね、と持ち前の明るさで呆気に取られるハニに話しかけるミンギュ。高３で受験勉強で忙しいはずの弟のまさかの登場に私も驚いているんだけど。弟のミンギュです！ヌナがお世話になってます！でもヌナのことは渡しません！、とこっちが恥ずかしくなるような自己紹介をするから、やめて、と慌ててミンギュの口を塞ぐ。

「てことで、今日はヌナの家に泊まるね」

『は、』

「ぬな、勉強教えて？」

やたらデカいリュックだな、と思ったら今日は泊まる気で来たらしい。