BLUE. (ページ19)

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指示に従ってステージに上がると、想像していたよりもずっと多くの人がいた。エントリー順で立つと、長いこと渋っていた私は当然最後だから1番端。順に回ってくるマイク。1人ずつ前に1歩出て、自分をアピールする。私以外の4人の女の子たちが可愛らしく自分への投票をお願いするのを、どこか俯瞰するように見ていると、あっという間に自分の番が来てしまった。

「キムさん、何か一言ありますか？」

『…えっと、』

司会者の人が盛り上げようと質問をいくつか投げかけてくれた。自分の番だから当たり前だけど、たくさんの人の視線を集めて、顔が火照るのを感じながら、何とか質問に答えて、私の番が終わった。何もする気が無かったのを見抜いていたのか分からないけど、しらけさせない為に先手を打ってもらえて助かった、と胸を撫で下ろす間に、ミスター候補の人達が喋りだした。

ハニは宣言通り、何も披露することなく、投票よろしく、と簡潔に一言。それだけで会場が湧くのだから訳が分からない。

事前に投票された分の集計は既に終わっているらしく、全員のアピールが終わった今、まだ投票をしていない人達がスマホから投票をしている。その間、横にはけて少しだけ休憩する時間が与えられた。私はやることはもう終わったという気持ちで、身体の力が抜けるのを感じた。わりとすぐに集計が終わったらしく、私たちは再びステージに呼び戻された。

「今年のミス·ミスターコンの優勝者は、ユン·ジョンハンさんとキム·Aさんです！」

『え、』

呼ばれると分かっていたハニの名前と一緒に、絶対に呼ばれないと思っていた自分の名前がよばれて面食らっていると、いつまでも端に立っている私を迎えにハニが来た。ハニに引かれるままステージの中央に立つと、おぉー、と歓声が上がる。一言よろしく、とマイクを渡されて、考えが追いつかないまま、ありがとうございます、と言って頭を下げると謎の拍手。みんな興奮しているからか、何をしても反応がすごい。

どう頑張っても上手にならなかったダンスをハニと披露して、広報用にとカメラを向けられて、愛想笑いをしたまま焚かれるフラッシュと向き合って、ようやく解放されると思ったら、今度は全く話したことの無い人達に囲まれる羽目になってしまった。