闇に手を伸ばす【HS】 (ページ13)

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お酒が苦手なテヒョンオッパはコーラをちびちびと飲みながら近況報告をしてくれた。最近楽しかった事、の中に頻繁にジミニオッパの名前が出てきて、2人は本当に仲が良いと微笑ましく思う。それから最近仲良くなったという“ジョングクさん”。私の一個下らしく、きゅるきゅるお目目に似合わないゴリゴリ筋肉の身体にときめいたそう。危ない道に進まないかだけ心配。

金曜日ということもあってか、2人で入った居酒屋さんはスーツ姿の人たちで溢れていた。A、別れたんだって？とストレートに切り込んでくるオッパは流石だ。隠すことでもないので頷くと、テーブルの向こうからごつごつとしたテヒョンオッパの手が頭の上に乗せられた。大人になったんだね、と言うオッパの言葉遣いがとても好き。人一倍周りを見て凄く考えて発せられる素敵な言葉に胸が熱くなった。そいつ絶対後悔するね、と何故か得意げに言う姿は子供らしい。ぐびっとコーラが入ったジョッキを煽った。

のほほんとした雰囲気の中話していると、少し離れた席から聞き覚えのある笑い声がした。ヒャッヒャッヒャ、と窓を拭くような独特の笑い方。私の周りでこの笑い方をする人は1人しか思い浮かばない。それに続けて、ヒョンー、と言う声はジミニオッパに似ている。というか似ているを通り越してオッパだ。テヒョンオッパもそれに気がついたのか、2人で顔を見合わせて席を立った。折角の金曜日だし楽しく飲めそうだと思ったから。声のする方に2人で足を進めて、個室の前で立ち止まる。扉を開けようと手を伸ばして、聞こえてきた声に動きが止まった。

HS「Aちゃん…」

NJ「ホソガ、女々しい男は嫌われるぞ」

HS「女々しいってなんだよぉ、」

自分の名前が呼ばれてどきりとした。しかも声の主は気になって仕方ないホソク先輩だ。入るか躊躇う私を見て不思議に思ったのか、隣のテヒョンオッパが何故か思いっきり扉を開けた。

JM「え、」

HS「んんん、あれぇ…Aちゃんが見える」

驚いた顔が6個。ふにゃふにゃとした赤い顔で私を見つめるホソク先輩が、甘ったるい声で私の名前を呼んだ。