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取り敢えず風呂に入って流してこい、とグクに言われて、熱いシャワーを浴びたら少しだけスッキリした気がした。グクは私のことをよく分かっている。扱いが上手だ。たまに雑だけど。
軽くスキンケアをして、濡れた髪の毛をタオルで拭きながらリビングに向かった。喉が渇いて、お水を飲みたかった。
HY「あ、Aさん」
「…ハヨンさん、」
そこには先客がいて、振り向いてふわりと笑うハヨンさんはきっと真っ直ぐで良い人なんだと思う。私だけが真っ黒な気持ちを抱えたまま、またぎこちない笑みを貼り付ける。
HY「今日はもう帰ります。お茶だけ頂きました」
飲み終わってコップを当たり前のように洗って、Aさん、と優しい声が響いた。
HY「…今までコラボの話をオッパから持ちかけたことないって、本当ですか?」
「…多分、本当だと思います」
全部相手の方から話を持ちかけてきたって聞いてるから。オッパはそういう話を自分からするほど他人に興味がないと思ってた。なのに、
HY「…自惚れても、いいですかね」
「え、」
HY「今回、オッパの方から“楽曲提供したい”って言われたんです。声が好き、って」
「オッパ、から、」
HY「って、Aさんに何言ってるんだろう、ごめんなさい。こんな話して。もう今日は帰りますね」
お邪魔しました、と言われてなんて返したか覚えていない。
“お前の声、好きだわ”
その言葉に私がこれまでどれだけ救われたか、オッパは知らない。ハヨンさんも、グクも。
オッパは私の声だけが好きなんだとばかり思っていた。自惚れていたのは私だ。まんまと舞い上がって、私は恋をした。
人を傷つけることを知らないようなハヨンさんを見て、胸が苦しくなる。いっそのこと、彼女が悪い人だったら良かったのに。彼女を嫌う理由があるから。だけど、今の状況じゃ私が悪者だ。
ユンギオッパの一個下で、私よりも大人で。私には出来ない女性らしい服装。私は授賞式でドレスを着る以外、ほとんどスカート類を履けない。
オッパ、と呼ぶ可愛らしい声が耳に残る。匂いが移るほど近い距離で何をしてたの。
もう、オッパを好きでいることが苦しくて辛くて、いっそのことこの気持ちを忘れることが出来たらいいのにと思った。
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作者名:Hanavi | 作成日時:2021年1月21日 20時