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「…入っていいよ」
「お邪魔します、」
少しだけ開かれた扉の隙間から部屋に入った。
同じマンションとはいえ、周りの目を気にしないといけないのは同じだった。
「…お風呂、借りていい？」
「あったまりな」
心ない言葉をなげられて、私は雨の中傘をささずに帰ってきた。もうびしょ濡れ。
天気予報では雨降らないって言ってたのに。
浴室を出ると、綺麗なタオルと大きなTシャツ、見るからにオーバーサイズなズボンが置いてあった。
失礼します、なんて言いながら着るけど
…うん、でかい。
リビングに行くと、コップに入ったココアが置いてあった。
初めて健人くんの家に行ったときにココアがないって言って、そこからストックしてくれるようになった。
「ごめん。服でかいよね」
「ううん、貸してくれてありがとう」
「……目、赤い」
「泣いたもん」
「………そっか」
健人くんは優しい。
本当にどこまでも優しい。
眉を下げて、私の濡れた髪の毛を遠慮がちに撫でて、
私はその手の優しさにまた涙を流す。
「…負けそう、」
メンバーの前では呟かない言葉が、思わず出てしまう。
「……付き合おう」
健人くんから発せられた言葉はまさかのまさか。
どういう流れでそうなったの？
「俺さ、Aちゃんが頼ってくれるの嬉しい。辛い思いしてるのに、ごめん。
メンバーにも言えない悩みとか、俺に全部話してよ。
隣でさ、負けそうな時も、俺がいるから」
この人って本当にどこまでも王子様なんだな。
「Aちゃんが、好きだよ」
「まだ俺のこと好きじゃないと思うけど、これから、気持ちが通じ合えばいいから」
「…健人くん、
私のこと、温めてくれる？」
「……もちろん」
温かい手が私の頬をするりと撫でて、
ゆっくり近づいてきた唇が重なった。
何度も何度も、愛おしそうに重なって、
私が開けた口からぬるりと入ってきた舌が、私の中を満たした。
思わず健人くんの服を掴むと、彼の目が私を捉えて、
何かが通じ合ったかのように寝室へ連れられて。
私はこの日、はじめてを彼に捧げた。
無我夢中で彼が差し出してくれる愛にしがみついて。
私は20歳の誕生日を迎えるまで、健人くんと付き合った。
苦くて切なくて、でも甘くて。
こんなに素敵な人を私は2年間、傷つけて縛りつけることになる。
ーーーーーーーーーー
うわぁ、こんなシーン初めて書いたかも…。
ちょくちょく出てきます(多分)。
次から戻ります。
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らら - この作品好きすぎて更新されないかなー、なんて毎日覗いてます笑 もう更新されないですか…？🥺 (2022年1月12日 8時) (
レス) id: d67a593831 (このIDを非表示/違反報告)
Hanavi(プロフ) - コメントありがとうございます！！そう言っていただけて嬉しいです！！ (2020年6月2日 13時) (レス) id: 9b00aa192d (このIDを非表示/違反報告)
nyan,(プロフ) - わああああ（ ; ; ）お話大好きです、更新楽しみにしてます！ (2020年6月2日 10時) (レス) id: a978adf168 (このIDを非表示/違反報告)
Hanavi(プロフ) - 紅一点のお話は沢山あるので内容が似ないように気をつけていますが…全てのお話を私も読んでいる訳ではないので、教えてくださってありがとうございました。似ているものがあるようなのでお話を変えました。今後も読んでいただけると嬉しいです。 (2020年5月28日 8時) (レス) id: 51902a0f86 (このIDを非表示/違反報告)
なまえ(プロフ) - 水をかけて「笑えよ、冗談やろ」のくだり、ほかのサイトさんと同じな気がするんですが、、たまたまですかね、、 (2020年5月27日 23時) (レス) id: f81b14178c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Hanavi
| 作成日時：2020年5月24日 13時
