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誘惑王子66 ページ19

最近、誘惑王子()の雰囲気が変わった。



そう薄々と感じていた者は少なくなく、だからといって何が変わるという事は無かったのだが......






これが意外にも厄介なものだと気づく。







ミステリアスな雰囲気に、耳を擽る甘い声、誘惑の言葉。




どこか掴めない王子さま、だった彼は、以前の大人しさから少々活発になったような気がする。






それに困るという理由は、つまり...








こういう事だった。







スバル「それでね、あのワカメ先輩ってばうちのウッキ〜のこと誘拐したりしてさ。そんなに好きなら結婚すれば良いのにね、ウッキ〜!」



真「ありえない!」



スバル「即答じゃん!」



A「っふふ、あはは.....♪...へぇ...泉は君のことがとっても好きなんだ。...閉じ込めちゃうくらい...?」





小首を傾げ、なにやらキラキラとした瞳で見つめ、そう聞いたA




吹き出すような笑みがなんとも愛らしく、返事をする前にほんの少しだけ見入ってしまった





真「そ、そうですね...!小坂先輩の前だとそんな姿絶対見せないだろうし。はぁ...」



A「でも可愛いね...自分の前だと反応が変わっちゃう子なんて」



真「うーん...あれは可愛いとは呼べないし呼びたくない...」





あんまり名前呼ぶと来そう...と零して口を塞ぐと、隣で見ていた彼は何か思いついたように手を叩き、


あろうことか目の前に居たAに抱きついた





A「...わっ...どうしたの...?」



スバル「今から誘惑王子は俺が預かった!返して欲しければ奪いにこいっ☆」



真「...えっ.....えええ!!?」





ぎゅー☆と背中に腕を回し、見せつけるように抱きしめる



思いがけない展開に戸惑う真と目が合うと、またどこか幼げなふわりとした笑顔を見せた




「早く早く!」と急かすスバルと、くすくすと可愛いらしい笑みを零すA。





何とも言えぬギャップに惑わされ、しばらく動けなかったのだ







スバル「誘惑王子一人取り返せなきゃ、ワカメ先輩から逃げられないよ!」



真「さっきからむちゃくちゃな事言ってるよ!?...っていうか、小坂先輩と泉さんは関係無い...し」





きっと。...そう呟きながら、隣に立つAをチラリと見る




...本当はわかっていた。




自分を追いかける彼の事も、自分が好きなAの事も




その彼が、自分と同じ気持ちを抱いている事にも、全部...





真「ど...どうしたらいいんだろ.....?」





誘惑王子の『変化』に、彼らは逆らえるだろうか。




スバル「...」

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作者名:朝凪世一! | 作成日時:2020年5月1日 15時

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