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誘惑王子64 ページ17

黒髪の兄弟に絆され、どこかスッキリした日の翌日




やたらとご機嫌な様子で、にこにこと甘い言葉吐くと思えば特に何もせず、むしろ無口



それでも伝わる楽しげな雰囲気は、普段より幼く見える悪戯っ子の様な表情のせいだった





つむぎ「あの〜...Aくん?...な、何で顎の下を撫でるんですか...!?」




A「...♪」





ガーデンテラスでのお茶を楽しんだ後、不意に「こっち向いて?」と言われ、素直に従ったらこの状態になってしまった



まるで猫のように、頬から顎の下にかけてするりと撫でられる



うっとりとした瞳から愛おしげな視線を浴びて、勘違いしない者なんて居ないだろう




そんな戸惑う彼の背後には、1人の青年から嫉妬の目線が向けられていた





つむぎ「Aくん...?...うう、俺は猫じゃないですよ...」



A「...撫でられるの、やだ?」



つむぎ「...!...ずるいです...」




手を止めて、しゅん...とした顔をすれば、すぐに折れてしまう彼


それがわかっていたかのように微笑むと、再び手を伸ばそうとした......が、その腕は届かずに


後ろから伸びる手が、きょとんと不思議そうな表情をするAを控えめに抱きしめた



A「.......うん?...


どうしたの、夏目くん...?」



夏目「別に。...Aセンパイが居たかラ」



つむぎ「夏目くん...!」





「Aくんには甘えん坊ですね...♪」と話しかけるものの、彼は無言で顔を埋める




そんな彼の頭を撫でながら、Aも困った様に微笑んだ






A「つむぎには可愛い弟が居るね...?」



つむぎ「弟!...素敵な響きです...♪いだっ」


夏目「...あんたの弟じゃないシ」




腕を伸ばして頬をつまみ、くぐもった声のまま告げる




しばらく話していると、図書室に行ってくるとつむぎが席を立って去ってしまう



微かな喧騒の中、2人だけのガーデンテラス






彼の身体を離して、くるりと後ろを向いて対面すると



優しい声で「...おいで?」と腕を広げる





素直に身体を預ける夏目の髪に指を通して撫でながら、耳元で囁いた




A「...寂しかったの?...今日は部活行くって、言ったのに」



夏目「...だっテ」




ゆっくりと、恥ずかしそうながらも素直に話す彼




片手を背中に、もう片方の手で頬を撫でると、そっとキスをした






A「...ご褒美ね...?」




触れた頬から、髪の色を映すようにぶわっと染まっていく



”自分”から触れようとした唇には人差し指が当てられ、止められてしまったのだが。




夏目「〜っ....なんデ...」

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作者名:朝凪世一! | 作成日時:2020年5月1日 15時

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