【あんスタ】誘惑王子に逆らいたい〈2〉 (ページ15)

今日:4 hit、昨日:1 hit、合計:16,490 hit

誘惑王子62 ページ15

俯いていた顔を上げて、毒の様な紫の瞳に俺を写す

『王子様』なんて名前は嫌。自分は醜くて欲張りだ。...なんて、

今までの優しいAからは考えられないような言葉が、弱々しい声で紡がれる

.....胸をとん、と押されて、離された体

顔を上げて見えるのは、今までで見たことの無い悲しい笑顔と

聞いたことのない爽やかな声で

...彼は答えた

A「凛月くんたちのお返事が欲しくて言ってる訳じゃないよ。

...俺の一方的な愛情表現。誘惑って言葉で無駄に飾った、ただの押し付け。....優しくて良い子な凛月くん達に甘えて、そう思わせてたみたいだね。...きっと」

...だからね、

......もういいや。

A「そう思わせた責任、...ちゃんと取るよ。

甘ったれで欲張り、怠惰で我儘な、この誘惑王子が、....可愛い可愛い凛月くん達をお望みのままに支配するから...」

凛月「支配って、...何、そ...」

A「俺に逆らおうなんて思ったら、お仕置きだね?.....可愛い凛月くん。余計な事は考えなくて良いんだよ」

薄紅色の唇を湿らせて、艶っぽい声色と吐息が耳を擽る

清々しい顔をした彼(誘惑王子)は、ぼうっとする俺の鼻先に口づけをして去って行く

”また”躱された。...とは思わなかった。

.....だって、

いつもより意地悪な、...大人っぽい表情に含む、悪戯っ子みたいな愛らしさが見え隠れして

俺を惑わせる

...今までよりもっと、好きになってしまった。

凛月「....ばか」

...ずるいじゃん。...あんな余裕そうな顔

凛月「....あーあ。......せっかくAの弱み握ったと思ったのに...」

彼が去った後の草の上に寝転んでみる

...ぜーんぜん暖かくない。鼻先にキスしたらさっさと行っちゃうし。

あの距離で、あのタイミングで唇にしてくれない辺り.....やっぱり意地悪

それでも嫌いなんて思わないけど

....むしろ、ちょっとどきどきしちゃったかも...?なんて

凛月「......誘惑王子め」

開き直ったなんて知ったら、みんなどんな反応するんだろ....?

.

A「...そんなに見つめても、俺は入らないよ?」

奏汰「このまえは『はいって』くれましたよね〜...A?」

A「...あれは事故。風邪引いちゃうから、出ておいで?」

差し伸べられた手を取ると、わざとらしい声を上げて引っ張り倒れ込む

ざぶん、と高く上がった水しぶきが二人の上に降り注いだ

奏汰「ふふふ...♪」