はないちもんめ

はないちもんめ ページ6

yb『はい…はい…それは失礼します』



謝りながら通話ボタンを切る薮



少し辛そうな顔をしている



yb『はぁ…次の営業に行かなきゃ』



ゆっくりと進める足



yb『失礼します。



薮宏太です』



■■『あ、ようこそ〜』



呑気な声で薮宏太を迎える



■■『緊急の呼び出しでごめなさいね〜。



上司が無理言ったらしくて』



yb『問題ないですよ』



そういう薮の目の下には隈ができていた



■■『それで今日は…』



話は長くて薮はほとんど何も聞いていなかった



■■『…それでは今日はここまでにします。



もしも〜し？』



yb『…あっ、ごめんなさい』



薮は勢いよく立ち上がり謝った



■■『問題ないですよ。



疲れてるみたいだったんで』



yb『それでは失礼します』



■■『あの‼』



帰ろうとした矢先、声をかけられた



■■『…この後空いてますか？』



yb「…は？」



■■『ほんっとにあのクソ上司‼



なんで緊急で会議とか入れんのかな⁉



俺らにも相手にも失礼だってわかんねぇのかな⁉』



yb『は、はぁ…』



薮は一緒に付き添うことになった■■■■の愚痴を聞く羽目となった



■■『薮さんって…なんでそんなに平然としてられるんですか〜？』



yb『…へ？』



まさかの問いにビールジョッキを机の上に置く



■■『だって…どれだけ緊急で会議呼ばれても文句の一つも言ってないじゃないですか。



だからなんでかなって思って…』



yb『俺だって…文句くらい言いたいですよ。



でも、言えない世の中なんです』



■■『…そうだ。



でしたら、これあげますよ』



そう言ってポッケから取り出したのは万年筆であった



■■『今日、会った仲です。



文句、これで書いちゃってください』



yb『え？



で、でも…』



■■『いいんです‼』



薮は力強さに負けて、万年筆をもらった



そしてそこから資料を書くときはその万年筆を使い、たまには文句を書き



たびたび会って話をする仲にまでなっていた

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