6. 微塵切り。 ページ7
◾︎堅side
ちっけえ。
誰とって?
この人(A姐さん)だよ!!
緑色のシンプルなエプロンを来て髪を高く結い上げているA姐さん。
俺の目線からは綺麗な項と首筋がどうしても見えちまう。
普段店以外の女のそんなところを見る機会もほぼ無いわけで。
アイツらとは違う、素朴で純真な感じ。
でも、やっぱりエマと違って大人の色気?みたいなのがすげえ。
心做しかふんわりと色香が漂っているようにも思う。
というか包丁さばきやべえ。
どんどん野菜たちが微塵切りになっていく。
俺はコンソメスープを作ることになったから、慣れない包丁で切ったキャベツとベーコンを鍋に入れて煮込んでいる。
『堅君、いい感じだね』
花が綻んだように可憐に笑う彼女に目が離せない。上目遣いを意図してやっているのか、角度が完璧すぎてノックアウトしそうだ。
今日会ったばかりの、しかも10も上の女にこうもドキドキしてしまうなんて、どうしちまったんだ俺。
▷▶︎▷
そして、現在に戻る。
みんな、美味しい美味しいと言いながら食べてくれた。
自分の作ったものを喜んで食べてくれるなんて、これ以上の幸せはないよね。
食べたあとは松野君が洗い物の手伝いをしてくれた。
松野君には大好きな先輩がいるみたいで、その先輩のことを色々と教えてくれたんだ。
カッコよくて喧嘩が強くて誰よりも義理を重んじる。
そんな素敵な人なのだという。
松野君がここまで心酔しているなんて、よほど素敵な人なのだろう。
機会があれば是非会ってみたいな。
「A姐さんありがとうな〜!またご飯食べさせてよ」
「また来るわ」
「今度は場地さんも連れてきます!」
ちゃんとお礼を言って、全て片付けてから3人仲良くバイクで帰っていった。
久しぶりに仕事以外でワクワクしたな。
弟が亡くなってから、ぽっかり空いて埋められなかった何かが少し修復されたような気がした。
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作者名:うみまこ | 作成日時:2024年3月27日 14時