5 ページ6
「よおA!元気にやっとるか!」
スマホを耳に当てるとうるさいくらいに元気な声で大毅が言った。
「なに、いきなりどうしたん?」
普段忙しい大毅から、こんな夕方前に電話が来ることはあまりない。
「お前なんで東京越してくること俺に言わへんねん。」
かずこさんやな。
大毅に負けず劣らずおしゃべりで元気なかずこさんのことだから、私から聞いてすぐ大毅に言ったんだと想像できる。
「別に、タイミング逃しただけや。」
「ほぼ毎日連絡とっとるんやから、いくらでもあったやろげ!ほんまお前は大事なことだけいっつも言わへんのやから。」
「連絡取ってるって言ってもほぼ毎回大毅から変な写真送られてくるだけやん笑」
ロケに行って変なもん食わされただの、
メンバーの寝顔だの、いつも大毅は変な写真を送ってくる。
「うっせ。まあそないなことはどうでもええけど、オカンが今日東京来るって言うてたんやけどほんま?」
かずこさん、そこまでいっちゃったんだ。
私が、東京転勤のことを大毅になかなか言い出せずにいたのは、大毅とあまり東京では会うことは避けた方がいいと思ってたから。
出版社で働く私にとって、芸能人、ましては大毅みたいなジャニーズのゴシップってあまり良いものではないと
分かっていたし、
たとえ幼馴染の私でも撮られたら終わり。言い訳しても世間からは信じてもらえないことくらい分かる。
だから東京では、仕事以外ではあまり接触しないように
心がけるつもりだった。
「うん、いま川西でるとこやで。」
「今そっち出たら、着くの18時頃やろ。俺今日オフやから暇やし、東京駅まで迎えにいったるわ。」
「いやいや、、ええよ。私んち駐車場とかないし。」
「そんなん近くのパーキングにでもとめたらええやろ。とにかく着く時間わかったらLINEしてな!ええな!約束やぞ!」
「えっ、、でもっ」
ブチッ!!
電話を切られた。
大毅は、変なとこ頑固だから、結局断っても無駄だろう。
まあ、、人混みを避けて、どこか駐車場で
後部座席乗るように気をつけたら大丈夫だろう、、。
スーツケースも重いし、東京に着く頃には、帰宅ラッシュの時間帯。迎えに来てもらえるのは正直助かる。
カーンカンカーン
近くにある踏切が鳴りだした。
遠くの方からこちらに向かう電車が見えた。
134人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
きき - はじめまして、お話読ませていただきました。読んだ瞬間はまってしまい全部読んでしまいました。終始ドキドキです。早く続きが読みたいです。楽しみに待ってます! (2022年5月31日 21時) (レス) id: 596961ed1f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:スイセンノウ | 作成日時:2022年1月14日 21時