Rose campion 1 (ページ15)

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14*Daiki ページ15

「A、風呂入ってきーや」

食べ終わった食器を台所に持って行きながら言うと、
Aが後からついてきた。

「いやいや、ええよ。私がお皿洗いやるよ」

「ええから、ええから。タオルは脱衣所に置いてあるやつ自由に使ってええで。早よ行ってこい」

腕まくりしながらほら行った行ったと言い手で払うと、Aは、ごめんありがとうと言って、和室に置いてあったスーツケースから荷物を取り出し、風呂に向かった。

「ふう、、、」

水を流したまま、一度手を止めた。

今日は情報量が多すぎて処理しきれてへん。

Aが東京転勤でご近所さんになり、そんで仕事まで、、

上京をしてから、Aとは俺が帰省したときとか、仕事で関西に行ったりしたときとか、年に数回しか会う機会はなかった。

いつも会おうと言うのは俺からで、Aから言うことはない。

理由は分かってる。俺に迷惑をかけないようにってAはいつも、そればっかり考えてくれてる。

この世界に入ってなかったら、普通の仕事して普通の生活してたら、Aにこの気持ち伝えられたのかなとか

うだうだ考えたこともあったけど、

それでも俺はやっぱりこの仕事が楽しくて、大好きで、誇りを持ってやってきた。

だから何度も、何度もAのことを諦めようってそう思ったのに、、、

ただ、手を掴まれただけなのに、胸の高鳴りが抑えきれへん。

ただ、目の前で美味しそうにご飯を食べてくれるだけで、幸せな気持ちで胸がいっぱいになる。

何年もかけて蓋をしたはずのこの思いが、

Aが手に届く距離におる、それだけで
溢れ出そうになる。

ちゃちゃっと皿洗いを終わらせて、
ソファーに座り、大きく反り返った。

「はあ、、俺はどうしたらええんや、、、。」

つぶやいたその言葉に、自分自身ですら返す言葉がなく、
虚しく宙に浮かんだ。

ガチャ

「大毅、お先におおきに〜。ええお湯でしたっ」
　

反り返ったまま目線を右にやると、
Tシャツにショートパンツ、タオルで頭をぐるぐる巻きにしたAがあらわれた。

ショートパンツからは白くて細い太ももが露わになっている。

、、、そんな格好で出てくるなよ、、。

俺は、真っ赤になった顔を隠すために、
右腕を折り曲げ、額に当てた。

Aはそれを気にする素振りもなく、
いろんな化粧品を抱えてテーブルにどさっと置き、
スキンケアをはじめた。