Rose campion 1 (ページ13)

今日:4 hit、昨日:6 hit、合計:21,951 hit

12*Daiki ページ13

ニラを切っていると、ダイニングテーブルに座ってたAが立ち上がり

奥にあった小さい本棚をみている。

「ねえ、これちょっと見てええ？」

そう言うと本棚から最新号のアイドル誌を出し俺に尋ねた。

「ええよ、お好きなだけ。」

さっき、俺に彼女は大丈夫かと尋ねたが、
Aこそ彼氏がいたら、男の部屋に泊まるのはまずいのではないか。

いや、俺のこと男としてカウントしてなさそうやな、、、。

てか、最近あんまり男の話を聞かへんけど、彼氏おるんやろうか。

いやいやでも、もし彼氏がおる言われたらそれはそれでショックやな、、

「痛っ！」

なんて、色々逡巡しながらニラを切ってたら、
人差し指を少しだけ切ってしまった。

「え、どしたん！？」

Aは読んでいたアイドル誌をテーブルの上に置き、
キッチンに飛んできた。

そして、俺の手をバッと掴んで切った箇所を眺めた。

「あちゃー、血でとるやん。大丈夫？」

「へーきへーき、こんくらい舐めときゃ治るわ」

「ちょっと待ってや」

Aは手を離すと、テーブルに戻り近くに置いてあった自分のカバンから絆創膏とティッシュを取り出し戻ってきた。

そしてまた俺の手を持ち、ティッシュで軽く滲んだ血を拭いた後、丁寧に絆創膏を貼ってくれた。

「よしゃ！これで大丈夫やろ」

そう言って、離しかけたAの手を、咄嗟に俺はバッと掴んでしまった。

「え、なに？」

Aは驚いた顔をして、俺の顔を見上げた。

「あ、、いや、、、きれいな手やなあと思ってさ。」

離してほしくなくて反射的に掴んでしまった手を
下手な言い訳をし、ゆっくり離した。

「ふふ、なんやそれ笑てか大毅大丈夫なん？豚ニラ炒めつくれるん？」

「よ、余裕や！こんなミス普段せんのやけどな。ほれほれあっちで大人しく待っとれや」

そう言ってAを手で払うと、はいはいと言ってまたテーブルでアイドル誌の続きを読み始めた。

俺は真っ赤になった顔を冷やすために、冷蔵庫を開けて食材を探すふりをして、ふうと一息ついた。