Aprikosen Hamlet ―武蔵野人狼事変― Ⅱ (ページ1)

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Planet Blue geographia ページ1

塔樹「無論、己の智識が全能とも思いませんけど」
聖「うふふっ、謙虚なのは良い事ですよ…では、この中から一枚、お好きなカードを選んで下さい」
塔樹「俺のターン、ドロー!」
聖「…はい?」
塔樹「…ごめんなさい、何でもないです」
聖「こちらは十二番、一般的に『吊られた男』または『吊るされた男』などと訳されるカードです」
塔樹「『吊人』ですか? あまり縁起の良いアルカナじゃなさそうですね」
聖「確かに十二番には、不自由や試練、犠牲と云った意味も伝わっております。でも、そういう時は…このように、逆位置にして思索するのです」
塔樹「カードを逆向きに?」
聖「…どうやら、あなた様は遠くない未来、大罪と向き合う事になるでしょう。そしてそれは、常識的な手段では乗り越えるのが難しいと思われます。ゆえに、発想を逆転させるのです。時として視点は、真実さえも変えてしまうのです。こうして天が地に降り、地が天に昇るかの如く…」
塔樹「あの…ありがたいんですが、もう少し具体的にお願いできませんか?」
聖「即ち、敗北と勝利が入れ替わる、負ける事によって勝つ方法を編み出すのです。例えば…お姉ちゃんでしたら、自分の生命を狙っている方に、私の『分身』を送り込み、その間に目標を果たす…なんて事を、考えるかと思いますが…」
塔樹「その前に、分身の作り方を教えて下さい…」
聖「その答えは、無敎様御自身の中にあるはずです。古き幻想を、新しき創造力に昇華させるのです。このカードを、護符に差し上げます。物語の変化は、今や眼前に迫っているのですから…!」

道理「…で、そのオカルティック助言で思い付いたのが、手前のVRを造り、そいつに『吊られし者』の役割を押し付けるって事か…回りくどい」
塔樹「ゲームで確実に負けない方法は、そのゲームに参加しない事だからな」
道理「それには散水…いや、賛成」