繋がった先には (ページ11)

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「考え事してた、なんて伝えようかなって」

『何を？』

「一緒に帰ろって」

『誰に？』

「佐伯さん
危ないし、部活で暗い時間に帰ること多いし。寮と家近いからちょうどいいでしょ。何よりみんなで一緒に帰った方が楽しいし」

『…いや、悪いよそれは。それなら毎日自転車でくるから大丈夫』

練習終わりの選手に送ってもらうって
逆に負担になってるじゃん
支える側としてダメだそれは

「でも歩きたいんでしょ？」

『まあ歩くのは好きだし、できれば…』

「じゃあいいじゃん」

『……』
素直に頷けない。気持ちは嬉しいけど負担になってまで自分好きなことをやろうと思わない

「寮と家近いしみんなで一緒に帰ろうよ。全然負担にならない」

『…ほんとに？』

「ほんと」

『じゃあ一緒に帰ろうかな。でも家の前じゃなくて別れるとこまでにしよう』

強情だなー、なんて言いながら石川くんは笑うけど
かなり甘えてると思う

「じゃあみんなにも言っとくから明日から一緒に帰ろ。おやすみ」

『ありがとう、おやすみ』

そう言って鍵を開けて後ろを見ると、
まだ石川くんは立っていた

律儀な人だな。ほんと好青年って感じ

家の中に入りもう1度石川くんに手を振る

「俺佐伯さんには興味あるから」

そう言い終わるとすぐに背中を向けて歩き出した

…え？興味ある？？？

"石川くんって私に興味ないよね。"

すごい時間差で返ってきた爆弾に顔が赤くなるのが分かる

バレーの逸材である彼らしい時間差攻撃だな、
なんてバカみたいな考えがパニックになった頭の中で浮かんだ