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貴方side
……私の目の前で、笑い転げてる…この人…。
ほんとにあの、羽生選手……?
グラビアから抜け出してきたみたいな、
キラッキラの笑顔で自己紹介してくれたから、
間違いはないだろうけど…。
こんなに、笑い上戸なの?
「はぁ…笑った〜。こんなに笑ったのほんと久しぶり。以外に天然さんだね。」
目尻の涙を拭いながら、私の顔をちらりと見る。
謝らなくちゃ!国民的アスリートとも言える彼を知らないなんて、日本国民として、スポーツ関係をかじってる者として、許される事じゃない。
「……ごめんなさい。私、ずっとテレビで見てたのに、ご本人だとは気付かなくて。」
ほんとに申し訳なさ過ぎて、声も小さくなってしまう。
「いいの、いいの。普段はできるだけ気付かれないようにしてるし、」
あぁぁ〜穴があったら入りたい〜。
もぉ、おバカにも程があるよね。
羽生さん優しいから「天然さん」なんて言ってくれたけど、ほんとに自分のバカさ加減が嫌になるわ。はぁぁ
「本っ当にごめんなさい。失礼致しました。」
深々と頭を下げて、心から謝罪する。
「篠田さん?」
お前になんか施術させない、出てけ。って言われても仕方ない。そう思ってキュッと目をつむる。
「マッサージしてもらっても、いいですか?」
弾かれたように顔を上げた私に、優しく笑って頷いてくれた。
「分かりました。うつ伏せになって下さい。」
嬉しい…!私の仕事を認めて、大事な身体を
任せてくれた!
私の出来る限りの施術をしよう。
少しでも楽になるように。痛みがとれるように。
「肩にホットパックのせますね。」
施術のタオルの上にもう一枚タオルをかけて、ホットパックをのせる。
肩を温めている間、背中から腰にかけて、ゆっくりマッサージしていく。
「マッサージ上手いですね。」
夢じゃないよね。
私、羽生さんに褒めてもらえた……!
「ありがとうございます」
今まで一生懸命頑張って身につけてきた技術が、認めてもらえた!何よりの誉め言葉に涙出そう
になる。
「私に敬語はいりませんよ。年下ですから。」
涙をこらえるために、おどけた口調で言って診た。
「そうなの?じゃあ。でも、三上さんが篠田さんは色々資格を持っているって。」
「学生の頃からトレーナーになろうって思って頑張りました。」
「何かスポーツしてたの?」
スポーツ……してた。…けど。
…してたけど。
私は、まだ、それを、
自分では、話せない…。
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鹿(プロフ) - はじめまして!ここの羽生さんが紳士で楽しく読ませてもらっています!もう少しで完結なんですか?さみしいです…。できるだけ長く読みたいので、頑張ってくださいね! (2016年10月28日 22時) (レス) id: 73ad5e2308 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:心菜 | 作成日時:2016年10月20日 8時