君と私の…… (ページ26)

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貴方side

結弦くんが、私を好きって言ってくれた。
付き合ってください。って。

返事って言うから、つい、
……好きって……言っちゃった

ぎゅっと抱きしめられて、
少し苦しかったけど、
すごくしあわせで。
涙がぽろぽろこぼれた。

幸せでも、涙が零れるって
初めて分かった。

ゆきさん、ひとを好きになるって、
すっごく幸せだね。
好きって言ってもらうのって、
すっごく嬉しいね。
胸の中がほわっと温かくて。
大事なことって言ってた意味、
ちょっとだけ分かったよ？

結弦くんがキスしてくれて、
涙を拭ってくれて、
恥ずかしかったけど、

幸せで、幸せで。
私、女の子に生まれて来て、
本当に、良かったって思った。

ありがとう、結弦くん。
大好き、です。

急いで着替えて受付に行くと、ゆきさんがいる。あれ？所長もいる。
「所長？今日お休みじゃなかったんですか？」
確か、シフトに赤丸が付いてたはず。
「ゆっきーから、しのが、レッスンに来たって聞いて～。どうかなぁって、顔、見に来た。」
「ありがとう、ございます。ご心配をかけてすみません。」
「ちゃんとご飯食べた？」
「はい。」
「んじゃ、よかった。羽生くんに美味しいもの、ご馳走してもらいなね～。」
ひらひらと手を振って、事務所に入って行った。
「すみませんでした。」
後ろ姿に頭を下げると、また、手を振ってくれた。

「しのちゃん、良かったわね。」
所長との話が終わるのを待っていたのように、ゆきさんが話し出す。
「え？」
「羽生くんとお付き合いするんでしょう？」
「……っ！」
きっと私、耳まで真っ赤だ……。
結弦くん、なんとか言って！

「雪野さん、その位にしてあげて下さいw」
クスクス笑いながら、助けてくれた。
ありがとう。でも、笑わないで。
ほんとに恥ずかしいんだから。
「……はい。昨日はご馳走さまでした。
ご心配をおかけしました。」
「しのちゃんが幸せなら、何よりよ。なにかあったら、いつでも言ってね？
私は、しのちゃんの味方だから。」
意味ありげに彼を見た気がするけど、
何なんだろう……？

「Aちゃん、そろそろ行く？」
「はい。ゆきさん、お先に失礼します。」
「失礼します。」
二人揃って頭を下げると、
「お疲れ様。仲良しねw」
小さくバイバイと手を振って、仕事に戻って行った。

彼が私の荷物を持ち、駐車場まで降りる。
変わらずに、きちんとエスコートしてくれる彼を見てると、慣れてるなぁって思う。
海外の生活が長かったからかな？