君と私の…… (ページ23)

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「そしたらね、今度は足の向きを変えて……」
だから、近いってば！

「Aちゃん、あのさ、俺、男だってわかってる？」
「？うん。」
あー、意味わかってないな、この顔は！
「ちょっと近くない？」
「え？レッスンでしょ？アイスショーなんてもっと近いでしょ？」
「違う！あれは仕事！
いくらレッスンだって言ったって、
好きな子がこんなに近くにいたら、
どきどきしちゃうだろ！？」

おれ、どさくさに紛れて、
なに、言った……？

「……結弦、くん？も、もう、何言ってるの？」

くそっ、冗談にされてたまるか！
勢いで言ったとはいえ、
１回も２回も一緒だ！

「……俺、Aちゃんが好きです。

こう言う仕事だから、
いつも一緒には居られないと、思う。
でも、気持ちだけはいつもAちゃんの
一番側にいたい。
……俺と付き合ってください。」

Aちゃんの目から涙が
ぽろぽろこぼれる。
「ゴメン、なんか、急に言っちゃって。」
「……私、で、いいの？」
「Aちゃんが、いいの。」
「……案外、頑固だよ？」
「わかってるしw」
「私、」
「ストップ！大丈夫。Aちゃんが俺の事
好きでいてくれるなら、他はどうでもいいことだろ？」
「……うん。そうだね。考え過ぎちゃうの、
悪い癖だね。」
「ね、返事、は？」
「……え、？」
「だから、付き合って、って言ったよね？
その返事。もう、やだ……。」
すっげーどきどきしてんのに！

「ありがとう……
私も、結弦くんが、
好きです。」

「っしゃあっ！！やったっ！ありがとう」
思わず、彼女を抱きしめた。
優しい香りがする。

すっげー、しあわせ。

びっくりしたらしく、固まってた彼女も俺の背中に腕を回して、ぎゅっとしてくれた。

何、これ。

気持ちが通じて
好きな子を抱きしめるのって、

こんなに幸せで、嬉しいんだ……

腕を緩めて彼女を見ると、涙の跡が残ってる。
親指で優しく拭ってから、彼女の細い肩に額を預けた。
「あ～、緊張したー……。
オリンピックなんか目じゃねぇわ。」
「結弦くんが言うと、冗談に聞こえないよ？」
クスクス笑いながら、頭をぽんぽんしてくれる。
「いや、マジで。口から心臓が飛び出しそうだったww」
「私も、だよ？」
「ん？」
「好きな子が近くにいて、って言われたとき、心臓が止まっちゃうかと思ったもん。……
もちろん、今も、どきどきしてる。」

横目で見ると、
頬を染めてる彼女が可愛くて、

頭の後ろに手を回して、

そっと、キスをした。