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結弦side
彼女のレッスンを見たいために、マネージャーに無理を言って、時間を作ってもらった。
今回だけですよ。と念を押されたけど。
仕事が大事なのは分かってるけど、今日だけはどうしても彼女のレッスンが見たかった。
ジムに着くと、まだ少し早い。待ってるのも、時間がもったいないので、トレーニングしよう
かとロッカーに行くと、川田さんに会った。
「あれ?今日予約入ってたっけ?」
「今日は入れてないです。Aちゃんのレッスンを見せてもらう約束をしてて。」
「A?あぁ、しの、ね。レッスンルーム予約入ってた。」
「ついでにレッスンしてもらおうかな、と。」
「……うん、大丈夫だろ?」
「大丈夫って、なにが?」
「しの。飯喰えるようになったって」
「え?何それ!」
「結弦、知らなかったのか?しのが拒食症なりかけたの。」
「知らない!ずっと忙しくて、連絡出来なかったし。」
「俺よりも、所長や、ゆっきーのほうが詳しく知ってるから、聞いてみたら?しのには、まだ、言うなよ。やっと落ち着いた所だから。」
「分かりました。」
一体何があったんだろう。情報が少なすぎて、意味が判らない。
ロッカーを出ると、レッスン着に、着替えた彼女に会った。
……痩せた……!元々細いのに、さらに細くて、本当に折れてしまいそうだ。
「結弦くん、こんばんは。」
「今日はレッスン見させてもらうね。」
「そのわりには、やる気でてるねw。」
あ、練習着に着替えたからか。
ついでにレッスン頼んでも、大丈夫かな?
「少しだけでも、おしえてほしいな」
「いいよ、バーレッスンがちゃんと出来たらね。」
レッスンルームに入ると音楽をかけ、スニーカーを脱いで、バレエジュースを履く。右足だけのレッグウォーマーが、彼女の怪我を語っている。
「結弦くん、バーレッスンしたことある?」
「現役の頃、合宿で少しやった、かな?」
「バーを使って身体を伸ばすと、しっかり伸びるから、怪我しにくくなるよ。真央ちゃん、やってるでしょ?」
こうやってと、バーに足を乗せると、真央ちゃんがリンクのガードを使ってやっている、ストレッチと同じものを見せてくれる。
「うん、やってるw」
「これね、やって見るといいよ。すっごく身体が伸びて、気持ち良いと思う」
バーに足を乗せて、まねをしてみる。確かに床でストレッチするより、ずっと伸びる。
「そう、さすが上手だね。手はもっと後ろで、」
俺の腕を持って、位置を直してくれる。
あのね、近いよ。
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鹿(プロフ) - はじめまして!ここの羽生さんが紳士で楽しく読ませてもらっています!もう少しで完結なんですか?さみしいです…。できるだけ長く読みたいので、頑張ってくださいね! (2016年10月28日 22時) (レス) id: 73ad5e2308 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:心菜 | 作成日時:2016年10月20日 8時