君と私の…… (ページ19)

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貴方side

はあぁ～…
もう何度めか判らないため息をつく。

迷って、迷って、迷って。
やっと彼にLINEを入れた。
神様にとってはほんの、出来心なんだろうけど、私にとっては本当に一大事だ。

あの、結弦くんとご飯したり、
ドライブしたり。
何が、
どうして、こうなったのか、
さっぱり判らない……。
ただ、夢じゃないってわかるのは、私のスマホに入ってる、彼のデータ。
LINE IDだけじゃなく、メアドや電話番号。
全部、だ。
彼ならLINE IDだけ入れることも、
できたはずなのに。
流出の恐れだってあるのに。
出会ったばかりの私を信じて、教えてくれた。
なんで、
どうして、
私、なんだろう……。

考えれば、考える程、胸の奥が苦しくなる。
こんな気持ちは、初めてで、どうして良いか判らない。

ピコン♪
LINEの着信音がなった。羽生結弦、彼からだ。
「了解。絶対見に行くから、待ってて。」
忙しいはずなのに、大丈夫なのかな？と思う私と、嬉しいと思う私が、いる。
自分の心がわからなくて、どうすることも出来ない。

誰か、助けて……

昔から、メンタルが体調にもろに響くタイプで、身体が重い。仕事には行っているけど、一昨日から水分と経口ゼリー以外受け付けなくなった。
ちゃんと食べないと、いけないって、わかってるけど。

「しのー？ちょっといい～。」
「はい。」
所長に会議室に呼ばれた。中に入り、所長の向かいに座る。
「ねぇ、しの。なんかあった？」
「いえ、別に。」
意外に賢い、この所長を騙せるとは思わないけど、これ以外に答えがなかった。
「ここに羽生くんが来た頃からだよね？ちょっと変なの。」

ほら、気付いてる。
私の心なんて、きっと判ってる
私の口から、私の言葉がでるのを待ってる。
「……彼は関係ありません。」
「そう？でもね、いい加減にしないと、倒れるよ？」
「大丈夫です。」
「しのは頑固だからなぁ」
そう言って席を立つと、ドアを開けてフロアに声をかける。
「ゆっきーいるぅ？」
はーい、とフロアの奥から返事があり、ゆっきーこと、雪野さんが部屋に入って来た。
「俺じゃあ、ダメだわ。よろしくね。」
雪野さんと私を残して、所長が部屋をでた。

私はゆっきーとは呼べなくて、ゆきさんと呼ばせてもらってる。メンタルケアのスペシャリストだ。
「しのちゃん、ちゃんと食べてる？」
「食欲なくて。」
「そうなの？ねぇこれから私の所でご飯食べない？私、作るから。」

ゆきさんの部屋にお邪魔することにした。