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side 麗日お茶子
季節外れの転校生がきた 。
突然に紹介されたその子は
私が今までの人生で出会った誰よりも ″美しい″という言葉が似合っていた。
ウェーブがかった黒髪は艶やかで、桜色のぽてっとした唇と、口元のほくろはとても色っぽい。
表情はあまり無い様だけど
それがまた彼女の妖艶さを際立たせている。
つまり一言で言うと 完璧 なのだ。
「……何食べたらそんな顔になれんの…」
隣の席に座る彼女の顔をボーッと見つめながら、不意に溢れてしまった私の言葉は誰にも聞こえず消えた。
いや、まあ、聞かれてても恥ずかしいんだけどさ
なんか 虚しいなあこれ !!!
…けれど 聞こえていないのも仕方ないのだ。
「美潮さんどこら辺住んでるの?」
「中学校はどこでしたの?」
「今日の放課後メシ行かね!? 」
「あっ、テメ上鳴!!俺らと行く約束だろーが!」
「ねえAちゃんって呼んでもいーい?」
休み時間になるたび起こるこの現象。
彼女の席の周りにはクラスメイト達が円を作って集まっており、質問をどんどんとぶつけている。
隣の席にいると言えど
私の小さなぼやきなど彼女に聞こえるはず無いのだ。
「…海浜公園の近くのマンションに1人暮らししてる」
ぽつり、美潮さんがこぼしたその言葉が質問に対する答えだと気付くのに 皆 数秒かかった。
「中学校は他県だったの」
「お誘い嬉しいけれど、食事はご遠慮しますね」
「美潮でも、Aでも、お好きなように」
シン、とさっきまで騒いでいた皆が
分かりやすく静かにしながら彼女の言葉を聞く。
その中で誘いを断られた上鳴くんだけはガックリと項垂れていた。相変わらずチャラい。
律儀にも全員分の質問に答えたところで
周りがまたガヤガヤと好きなように騒ぎ出す。
それでも表情1つ変えない彼女をジッと見ていると、その形のいい唇が また動いた。
「…大した顔では無いと思うけれど、好きな食べ物はかぼちゃ かな」
「あ、はは…聞こえちゃってた?」
「耳は良い方なの」
周りは ″?″ ばかり。
けれど、私と彼女だけが視線を交えて話を続ける。
ああ、もう…
外見だけじゃなくて性格まで素敵だなんて。
「…Aちゃん 最強すぎない?」
しっかりと机に項垂れてやった。
私が男だったら 即、お付き合い申し込んでるよちくしょう…!!
《 麗人とは彼女の事ではなかろうか 》
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キリ - 美潮ちゃんの見た目聞くとアリ○ル見たいですけど似せたんですか?とっても面白いです (2018年1月7日 5時) (レス) id: e989008aff (このIDを非表示/違反報告)
西垣(プロフ) - アカネ先輩さん» とても嬉しいお言葉ありがとうございます!! ぜひ読みに行かせて頂きますね◎○続編になりますが、そちらで更新頑張りますのでお付き合いくだされば嬉しいです ありがとうございます! (2017年5月21日 21時) (レス) id: ca90c69f0b (このIDを非表示/違反報告)
アカネ先輩(プロフ) - めっちゃ面白い…タイトルに惹かれて一気に読みました!作者さんの書くかっちゃんがかっこいいです!私もかっちゃんと轟くんの短編書いているのでよかったらみにきてください!更新楽しみにしてます(´˘`*) (2017年5月21日 2時) (レス) id: ad572bf5b5 (このIDを非表示/違反報告)
西垣(プロフ) - みいるさん» すごくすごく嬉しいです!!!もっと楽しんで頂けるように頑張ります、シリアス回続きますが根気強くお付き合いください…(泣)ありがとうございます!◎○ (2017年5月19日 22時) (レス) id: e58a020c03 (このIDを非表示/違反報告)
西垣(プロフ) - るるるさん» ひえええ(泣)恐れ多い…ありがとうございます…頑張ります…(泣) (2017年5月19日 22時) (レス) id: e58a020c03 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:西垣 | 作成日時:2017年4月16日 22時