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「…本当に迎えに来てくれるとは」



遠くに見える見慣れた人影に ぽつりと声を零した。

集合場所であるソコには
蜂蜜色の髪を掻きながらあくびをする、彼が立っていた。




「おはよう爆豪くん」



極力 怒鳴られないように努めて声をかけると
まだ眠そうな目を、ゆらりとこちらに向けた。

「…ハヨ」


いつもより 幾分柔らかな雰囲気をまとった彼はきっと朝が弱いのだろう。

キレのない挨拶を交わし
昨日よりもゆっくりな歩調で進み始めた。





「爆豪くん 後ろハネてる」

「…ん、後でなおす」

「…眠そうね」

「あー…眠くなんかねえわボケ」



横並びに歩きながら 、ぽつぽつと会話を楽しむ。


「ねえ、迎えに来てくれなくても 私昨日で道を覚えたわ」

「…放っとくとお前 変な奴についてくだろーが」



彼はじとりとした目付きで私を見る。

彼の言う ″変な奴″ について行ったことがあっただろうか、と思考を巡らせたが
一緒にこの道を歩いたのは 1人しかいなかった。






「焦凍くんは変な奴じゃあないわ」




思い当たる人物の名前をそう言葉にすれば
眠気に従っていた彼の目は ギンッと吊りあがり、紅い瞳が光った。


わあ、いつもの彼だ

なんて考えている内に大きな手が伸ばされ
グイ! と両の頬を摘んで引っ張られた。いたい。




「いひゃい、いひゃい」

「焦凍くん、だあ?
なんでテメエは半分野郎と仲良しこよししてんだクソ」


ぶにぶにと好き放題に散々引っ張られ
やっと離された頬を手で押さえる。いたい。





「…… 俺の名前も呼ばせてやるよ、呼べやコラ
知らねえとか言ったらぶっ殺すぞ」



なんとも愉しそうに口角を上げる彼はとんだヤクザもどきだ。

思い出す素振りをして口元に指を添えた時
どもった声が 私たちの間に抜けた。



「お、おおはよう美潮さん、かっちゃん!!」



そちらに立っている声の主は
緑色の髪に、そばかすを携えた少年だった。

彼の発した言葉にぽんと手を打った私は 彼に視線を向き直し








「かっちゃん、だ」




そう呼んでやると、目の前の″かっちゃん″は ぶっ殺す と野蛮な言葉を吐いて爆破を起こした。




「え、ちょ、かっちゃん!?僕ただ挨拶しただけなんだけど何で怒って、」

「っせぇ黙れやクソナードがあ!!それ以上口開いてんじゃあねえぞ!!!」


「あまり怒ると身体に悪いよ、かっちゃん」

「テメェも調子のんなやクソ女!!」





《 貴重なチャンスだったのに、と 》

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キリ - 美潮ちゃんの見た目聞くとアリ○ル見たいですけど似せたんですか?とっても面白いです (2018年1月7日 5時) (レス) id: e989008aff (このIDを非表示/違反報告)
西垣(プロフ) - アカネ先輩さん» とても嬉しいお言葉ありがとうございます!! ぜひ読みに行かせて頂きますね◎○続編になりますが、そちらで更新頑張りますのでお付き合いくだされば嬉しいです ありがとうございます! (2017年5月21日 21時) (レス) id: ca90c69f0b (このIDを非表示/違反報告)
アカネ先輩(プロフ) - めっちゃ面白い…タイトルに惹かれて一気に読みました!作者さんの書くかっちゃんがかっこいいです!私もかっちゃんと轟くんの短編書いているのでよかったらみにきてください!更新楽しみにしてます(´˘`*) (2017年5月21日 2時) (レス) id: ad572bf5b5 (このIDを非表示/違反報告)
西垣(プロフ) - みいるさん» すごくすごく嬉しいです!!!もっと楽しんで頂けるように頑張ります、シリアス回続きますが根気強くお付き合いください…(泣)ありがとうございます!◎○ (2017年5月19日 22時) (レス) id: e58a020c03 (このIDを非表示/違反報告)
西垣(プロフ) - るるるさん» ひえええ(泣)恐れ多い…ありがとうございます…頑張ります…(泣) (2017年5月19日 22時) (レス) id: e58a020c03 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:西垣 | 作成日時:2017年4月16日 22時

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