検索窓
今日:6 hit、昨日:12 hit、合計:580,511 hit

◎ 25 ページ25

「おいクソ女」



背後から 地を這うような低い声が耳に届いた。

ふと振り返ってやると
いつも通り睨むわけでもなく、表情を変えずに立つ爆豪くんがいた。



「さっきの能力 聞いてねえぞ」

「ええ、内緒にしてたもの」

「カスだな」



珍しく 怒鳴るわけでもなく
ハンッ、と鼻で笑ってから 彼は私の頭をぐしゃぐしゃにした。

負けた事に対して腹を立ててはいたらしいが
それよりも私の個性について聞きたい事が多いらしく、いくつか質問をされる。


どんな特性なのか
どういう状況下で発動するのか

など など。



何故そんな事を聞くのかと問うと
「次こそ そのスカした顔崩してえからに決まってんだろ」
と一蹴されてしまった。







「おーい、爆豪、轟、美潮!
講評聞きに来いってよー!!」

「あぁ、分かった」



大きく手を振りながら駆けてくる切島くんに、焦凍くんが適当な返事を返す。

4人で並んで モニタールームへと向かう事にした。




「それにしても美潮の個性すげえ強いよなあ!
何ができるんだ?」

「…自然のものを操れるのと、私の歌声を聞いた人を好きに動かせるわ」


「俺の出した炎を操る事はできるのか?」

「それは多分無理かなあ」



少年2人が口々に発する質問に
前に向けた視線を一切変えずに答えた。

そうして
やっと辿り着いたモニタールームに入ってみれば
クラスメイトたちは皆 私の個性に対して同じ反応を示した。



「美潮少女、君は大した個性を持っているようだね」

「…ありがとうございます」

「多少の危なっかしさに目を瞑ればかなり使い慣れているようだが 君のもう少し奥まで 今度は見させてくれると嬉しいな、とにかくお疲れ!」

「……筒抜け、か」



私の個性は 人魚の姿になった時に最大限を発揮する。

教師側の資料を得る彼は
その事をよく 知っているようだった。





キョトンと首を傾げる皆の中で
秘密を知る 爆豪くんだけは静かな瞳をこちらに向けていた。


私はそれを知らん振りして 部屋の隅っこに移る。
彼は、何事もなく隣に来たのだけれど。







「…マジで誰にも見せてねぇんだな」

「……ああ、そうだよ」



お互いに目も合わさずに繋がる会話。

私の視線の先では
緑谷 麗日 VS 上鳴 常闇 チームの戦闘訓練が行われていた。


そちらに夢中の空間の中
私のこぼした小さな声など 誰にも聞こえてはいなかった。





「…醜いもの、人魚なんて」




《 静かな痛みの叫び声は海に消える 》

◎ 26→←◎ 24



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (443 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
641人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

キリ - 美潮ちゃんの見た目聞くとアリ○ル見たいですけど似せたんですか?とっても面白いです (2018年1月7日 5時) (レス) id: e989008aff (このIDを非表示/違反報告)
西垣(プロフ) - アカネ先輩さん» とても嬉しいお言葉ありがとうございます!! ぜひ読みに行かせて頂きますね◎○続編になりますが、そちらで更新頑張りますのでお付き合いくだされば嬉しいです ありがとうございます! (2017年5月21日 21時) (レス) id: ca90c69f0b (このIDを非表示/違反報告)
アカネ先輩(プロフ) - めっちゃ面白い…タイトルに惹かれて一気に読みました!作者さんの書くかっちゃんがかっこいいです!私もかっちゃんと轟くんの短編書いているのでよかったらみにきてください!更新楽しみにしてます(´˘`*) (2017年5月21日 2時) (レス) id: ad572bf5b5 (このIDを非表示/違反報告)
西垣(プロフ) - みいるさん» すごくすごく嬉しいです!!!もっと楽しんで頂けるように頑張ります、シリアス回続きますが根気強くお付き合いください…(泣)ありがとうございます!◎○ (2017年5月19日 22時) (レス) id: e58a020c03 (このIDを非表示/違反報告)
西垣(プロフ) - るるるさん» ひえええ(泣)恐れ多い…ありがとうございます…頑張ります…(泣) (2017年5月19日 22時) (レス) id: e58a020c03 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:西垣 | 作成日時:2017年4月16日 22時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。