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side 爆豪勝己
『制限時間 残り1分だ!』
英雄の声がインカムを通じて耳元に響く。
いや、時間制限制だなんて初めて聞いたぞオイ。
なんて考えながら どうしたものかと頭を抱える。
コイツ相手に怪我をさせるわけにもいかず、サッサとその腕につく端末をぶっ壊してやりたいのだが
自然を操るその個性はなかなかに強かった。
やられればやりかえす、その応酬が続いてばかり。
「…焦凍くんも終わりそうにないなあ」
ちらり、と遠くで戦っているペアを見て呟く女。
その言葉に 俺はまた心臓が軋んだ。
…焦凍くん、だと?
確か 半分野郎の名前がそんなものだった気がする。
そこまで結論付いた所で、心臓の軋みはふつふつと沸く苛立ちに変わった。
何故か なんて、理由は俺も知らない。
「切島ッ、サッサとそっち片付け、」
怒鳴る方向を変え、目の前の女から目を逸らしたその瞬間
「〜♪…〜〜…」
澄んだ 歌声が聞こえた 。
「な、んだ…身体が…?」
その不安気な声色は 少し離れている切島のもの。
そしてその言葉の通り俺の身体にも異変が起きた。
目を瞑って歌を奏でる女の声は止まない。
( …うご、かない )
頭に靄がかかったようだった。
自分の意思で指一本動かないその身体は気味悪いもので
誰かに動かされるように己の腕を持ち上げた。
それは 切島もまた同じようだった。
「…反則技のようで使いたくなかったんだけれど」
ようやく歌を止めた女がそう言った後
「 2人とも その端末を自分で壊して? 」 と、囁くように言ったのだ。
それを壊すことは自ら負けを示す事だ、壊す訳がないだろう。
頭ではそう思っているのに
身体は何故かいう事を聞かず、バキリ と鈍い音を立ててそれを壊した。
「よくできました」
女の感情の無い声が響いた瞬間
頭にボーッとかかっていた靄は呆気なく晴れた。
状況を理解できないまま、手の平にある自分で壊した端末を見つめる。
同じ動作をしている男がもう1人。
『 …ヒ、ヒーローチームWIN !! 』
焦ったような声が 少し遅ればせながら響いた。
視界の隅には、美潮Aと轟の野郎が
パンッとハイタッチをしているのが映った。
side 爆豪勝己 。
《 男の知らない女の一部 》
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キリ - 美潮ちゃんの見た目聞くとアリ○ル見たいですけど似せたんですか?とっても面白いです (2018年1月7日 5時) (レス) id: e989008aff (このIDを非表示/違反報告)
西垣(プロフ) - アカネ先輩さん» とても嬉しいお言葉ありがとうございます!! ぜひ読みに行かせて頂きますね◎○続編になりますが、そちらで更新頑張りますのでお付き合いくだされば嬉しいです ありがとうございます! (2017年5月21日 21時) (レス) id: ca90c69f0b (このIDを非表示/違反報告)
アカネ先輩(プロフ) - めっちゃ面白い…タイトルに惹かれて一気に読みました!作者さんの書くかっちゃんがかっこいいです!私もかっちゃんと轟くんの短編書いているのでよかったらみにきてください!更新楽しみにしてます(´˘`*) (2017年5月21日 2時) (レス) id: ad572bf5b5 (このIDを非表示/違反報告)
西垣(プロフ) - みいるさん» すごくすごく嬉しいです!!!もっと楽しんで頂けるように頑張ります、シリアス回続きますが根気強くお付き合いください…(泣)ありがとうございます!◎○ (2017年5月19日 22時) (レス) id: e58a020c03 (このIDを非表示/違反報告)
西垣(プロフ) - るるるさん» ひえええ(泣)恐れ多い…ありがとうございます…頑張ります…(泣) (2017年5月19日 22時) (レス) id: e58a020c03 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:西垣 | 作成日時:2017年4月16日 22時