サカナは空を見上げた 【爆豪勝己】

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頭のてっぺんから足の先まで水浸しになった少年3人は
呆気にとられたように 固まった。

私の個性を初めて見たからなのか

とにかく私は、放ったらかしにされていた状況を打開できたようで少し気分が良くなった。
ふふん。



「てんっ、めぇ…クソ女ァ！！」


水に濡れてぺたんこになった髪から覗く紅い瞳はひどく吊りあがっていて、こちらを睨みつけた。


焦凍くんの大きなため息が聞こえてくるのと同時に
爆豪くんはダッ、と地面を蹴り その爆破の矛先を私に変えたようだ。

苛立ちに身を任せて 私に向けて腕を振りかぶる。






「残念でした」

「ぶわッ、！？」


それを防ぐように
協力してくれるらしい風に砂を巻き上げてもらい、目くらましをする。

彼の閃光弾を少し真似させてもらった。


ぎゅっと目を瞑った彼の爆破はあらぬ方向へ向かう。
少しだけ身を躱して そこを抜け出した。



焦凍くんはそれを遠くから見守っていたが
大丈夫だろう、とでも思ってくれたのか 切島くんとの勝負に集中するようだった。




「…女だからって、もう容赦しねえぞ」

「あぁ、容赦してくれていたから こんなにチョロかったんだね」

「…… ぶっ殺す」


ゴシゴシと目を擦った後 またその瞳は吊った。

不敵に口元をニヤつかせてから
彼は片方の手の平をこちらに向け、そこにもう片方の拳に空洞を作って重ねた。



「今の内に半分野郎共々 降参しとけやカス！」


そこに起こされた爆発は、拳の空洞を通る弾丸のような速さの一点集中爆破であって
私の反射神経では避けれないなあ、なんて。

もう諦めて端末をぶん投げようか


そう考えていたところ
突然目の前に ビキビキ！ と音を立てて氷が張られた。

壁のようになったその氷が、少し離れた場所で戦う焦凍くんによる物だとはすぐに分かる。
火力を伴う弾丸を すんでの所で止めてくれたのだ。



「もう、当たってたら死んでいるよ」

「当たんなきゃ良いだろうが」

「…言ったね」




売り言葉に買い言葉

私も彼の真似っこをして、地面から掘り起こした土で銃を形作り 込められた弾丸を彼の端末に向けて放った。


が、それが当たる音はしない。



「チョロいのはテメエだバーカ」

恐るべき反射神経で 彼は土の弾丸すら避けたのだ。
なんてこった。



「…勝負がつかないじゃあないか」




《 焦りはせずとも頭は抱える 》

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