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「ごちそうさまでした」
けふ、と息をついてお弁当の蓋を閉じる。
昼休み、ふらりと教室を抜け出して屋上にきたのはかなり正解だったようだ。
温かい風が ふわりと頬をかすめる。
「ふふ…なあに、お昼寝のお誘い?」
優しい風に言葉を返し ゴロンとそこへ寝転んだ。
小鳥が2匹飛んできて 私の手に擦り寄る。
眩しい陽射しに目を細めている内に眠気が少しずつ襲ってきて、私は静かに目を瞑った。
とても とても優しい平和な世界
「寝てんじゃねえぞクソデブ野郎が!!!」
その空気をぶち破る罵声 。
ガンッ ! ドアが蹴られる音に目をやったのだが
いつにも増して目つきが悪く、肩で息をしており
小鳥たちもそれに怯えて飛んで行ってしまった。
「ゼェッ…何で俺がこんな奴探さなきゃいけねーんだ…ッ…うろちょろすんなカス」
走ってここまで来てのであろう彼は、その場に立ったままこちらを睨む。
探されている理由も
キレられている理由も見当がつかないのだが、とりあえず私は身体を起こした。
「ハァ…、一応聞くけどよ テメエ次の授業何か分かってんのか」
息を整えた彼からの問いかけ。
「ヒーロー基礎学、でしょう?」
「…で、今は何時だ」
「13時15分…だけれど」
授業が始まるまでは まだ10分近くある。
もう少しゆっくり出来るだろう、と答えた私に ツカツカと近付いてきた彼は
「コスチューム着替えて集合場所まで行く時間 逆算しろやクソ!!」
グイ! と私の耳を引っ張って大きな声でそう言った。
とてもお怒りな様子の彼に腕を引っ張られて立ち上がる。
そのまま強引に引きずられる形で
私は屋上を後にした。
「なんで男の俺に頼むんだっつーの…チッ、」
ぶつぶつと文句を垂れる彼に話を聞いてみたところ
更衣室も 演習場の行き方も分からないであろう私に お前が教えてやれ、と相沢先生に頼まれたらしい。
( 仲が良いとでも思われているのだろうか )
そして探してみたところ どこにも私がいない、と。
「ふむ それは悪かった」
「悪いと思ってんなら3分以内に着替えて出てこい、オラ」
掴まれていた腕を雑に投げられて
その部屋、更衣室だろう所へ放り込まれる。
律儀に爆豪くんが持ってきてくれていたコスチュームケースも投げ渡され、バタン!と雑に扉が閉められた。
「…3分は無理があるよ」
《 静かな世界とは言えず 》
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キリ - 美潮ちゃんの見た目聞くとアリ○ル見たいですけど似せたんですか?とっても面白いです (2018年1月7日 5時) (レス) id: e989008aff (このIDを非表示/違反報告)
西垣(プロフ) - アカネ先輩さん» とても嬉しいお言葉ありがとうございます!! ぜひ読みに行かせて頂きますね◎○続編になりますが、そちらで更新頑張りますのでお付き合いくだされば嬉しいです ありがとうございます! (2017年5月21日 21時) (レス) id: ca90c69f0b (このIDを非表示/違反報告)
アカネ先輩(プロフ) - めっちゃ面白い…タイトルに惹かれて一気に読みました!作者さんの書くかっちゃんがかっこいいです!私もかっちゃんと轟くんの短編書いているのでよかったらみにきてください!更新楽しみにしてます(´˘`*) (2017年5月21日 2時) (レス) id: ad572bf5b5 (このIDを非表示/違反報告)
西垣(プロフ) - みいるさん» すごくすごく嬉しいです!!!もっと楽しんで頂けるように頑張ります、シリアス回続きますが根気強くお付き合いください…(泣)ありがとうございます!◎○ (2017年5月19日 22時) (レス) id: e58a020c03 (このIDを非表示/違反報告)
西垣(プロフ) - るるるさん» ひえええ(泣)恐れ多い…ありがとうございます…頑張ります…(泣) (2017年5月19日 22時) (レス) id: e58a020c03 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:西垣 | 作成日時:2017年4月16日 22時