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その女を見ていると 心臓がずくん、と音を立てて重くなったような感覚がした。
「… 人魚、?」
個性 という概念が存在する世界なのだ、ソレが海にいてもおかしな話ではないのかも知れない。
だとしても、だ。
「……あぁ、来てくれたのね 爆豪くん」
俺の名前を呼ばれるような事が あってたまるか
その瞬間 目の前の波はブワッ、と形を変えて 俺に覆い被さった。
え、いや、待てよ
「…ッ、ゴホっ」
息ができねえ、
口に入る潮水が肺に刺さって咳き込む。
それも知らずに 波はグイグイと俺を引っ張るように引きずり込むのだ。完璧に、自然に起こっているものではない。
爆破を起こして抜け出すしかないなと
両手の平を地面に向けた。
「ゲホッ、ゴホっ、…ッ んの野郎ぶっ殺すぞ!!」
大きな爆破音のあと
ようやく吸えた酸素で肺をいっぱいに満たし
バシャン ! と大きな音を立てて 自身を囲む水面を殴ってやった。
「すまない、私が君を引っ張ったんだよ」
「…あ゛?」
ふと 背後から聞こえた声に振り返ると
「水を操るのは得意でね、君が水中では息が出来なくなること忘れていた。」
先程まで 遠くにいたはずの、紅い髪をした女がいた。
「…お前、昨日のクソ転校生かよ」
姿は全く違うのだが その腹立つ目付きと無表情さは紛れもなく昨日のクソ女だった。
この状況に意味がわからずにいる俺が コイツの思惑通りのようでまた腹が立った。
…… と、言うよりも だ
「テ、メエなあ…服着ろやこんの痴女!!変なもん見せてんじゃねえぞクソ!!!!」
バサァ !
とびしょ濡れになった自分の上着を、目の前の痴女野郎に投げつけた。
砂浜に残されていた服や装飾品エトセトラはこいつの物だったようで、恥ずかしげもなくその上半身を晒している。
少しは隠せやクソ女…ッ、
「貸してくれるのか?」
「どうでもいいから早く着ろやブス」
ありがとう と言って女はその上着に腕を通した。
やり場の無かった視線をやっとそちらへ戻す
「…ああ、これが昨日言った 私の内緒事」
「私の個性 だよ」
そう言った女に 俺はまた苛立ちが湧いてくる。
俺の情けねえ泣き顔を見て馬鹿にしておいて
テメエはたったそれだけか、個性を教えるだけか、と。
俺は ボンッ!と音を立てて右手の平で爆破を起こした。
ふざけんな
《 何が おあいこ なのだと 》
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キリ - 美潮ちゃんの見た目聞くとアリ○ル見たいですけど似せたんですか?とっても面白いです (2018年1月7日 5時) (レス) id: e989008aff (このIDを非表示/違反報告)
西垣(プロフ) - アカネ先輩さん» とても嬉しいお言葉ありがとうございます!! ぜひ読みに行かせて頂きますね◎○続編になりますが、そちらで更新頑張りますのでお付き合いくだされば嬉しいです ありがとうございます! (2017年5月21日 21時) (レス) id: ca90c69f0b (このIDを非表示/違反報告)
アカネ先輩(プロフ) - めっちゃ面白い…タイトルに惹かれて一気に読みました!作者さんの書くかっちゃんがかっこいいです!私もかっちゃんと轟くんの短編書いているのでよかったらみにきてください!更新楽しみにしてます(´˘`*) (2017年5月21日 2時) (レス) id: ad572bf5b5 (このIDを非表示/違反報告)
西垣(プロフ) - みいるさん» すごくすごく嬉しいです!!!もっと楽しんで頂けるように頑張ります、シリアス回続きますが根気強くお付き合いください…(泣)ありがとうございます!◎○ (2017年5月19日 22時) (レス) id: e58a020c03 (このIDを非表示/違反報告)
西垣(プロフ) - るるるさん» ひえええ(泣)恐れ多い…ありがとうございます…頑張ります…(泣) (2017年5月19日 22時) (レス) id: e58a020c03 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:西垣 | 作成日時:2017年4月16日 22時