結ばれない運命ならこの息を止めて【S.K】2

54 ページ6

.

加藤side

＿月曜日＿＿＿＿＿＿＿


あーやっちまったなぁ。

俺ってなんで空気読めねぇんだろ


いつも通りAのナスを
貰おうとしてハッとした。


違うじゃん！
俺じゃないじゃん！


増田と山下さんからの冷たい圧が
めっちゃ感じる！！


だめだ、調子狂う。

解散したあと、
山下さんはやけに優しくて
なんか申し訳なかった。


『おはようございます』

いつも俺より早く出社するAが
今日は遅かった。


…まぁ遅刻じゃないからいいんだけど。


加「おう、土曜日はおつかれ」


いろんな意味を込めた。

申し訳ない気持ちも一緒に。


『あの、加藤先輩』

加「ん？どした？」

『わたし、異動願い出そうと思うんです』


はぁ！？

『あんまり一緒にいない方が
いいと思って…変な意味じゃないんですっ』

って両手をヒラヒラと胸の前で振っている。


んまぁ、そうだよな、

俺らは一緒にいる時間が長すぎた。

加「わかった、部長に話しとくわ、
希望はある？」


増田んとこの方がいいかなって思った。
でも、何故か営業部には
行かせたくなかった。

『経理部とか…広報部あたりが…』


Aもなんとなく
営業部も総務部も、避けているようで。

まぁ経理部は小山がいるし
広報部にも手越がいるから伝手はある。


加「わかった、それとなく言っとくわ」


『ありがとうございます…！』

そうペコッと頭を下げ、
席に着くなりパソコンの電源を入れた。




俺のデスクのペン立てには
クラゲのマスコットがぶら下がっていた。


山下さんにお揃いだって買わされた。

いや、ごめん、買わされたじゃない
買ったんだ、、

くそー俺って不器用というか正直というか…


クラゲ…

あの時、目をキラッキラさせて
クラゲの話をするAが
無邪気な子供みたいで可愛かった。

話も盛り上がっていて楽しかったなぁ。

これを見るとなんとなくAを
思い出していまうので持ち歩いてない。


持ち歩いてほしいという山下さんに

"無くしたくないから"

って言ったら笑ってくれた。

55→←53

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す