結ばれない運命ならこの息を止めて【S.K】2

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14時半にあるイルカショーまで
別々に回ることになった。

増「すげぇ！」

『すごーい！』


私たちは小魚達が泳ぐ
アクアリウムを見ていた。


繋がれた手にぎゅっと力がこもり

増「ごめんね、」

って貴くんが言った。


増「まだ気まずいよね？」


気にしてくれてたんだ。
そしていらない心配をさせてる。


『ううん、貴くんとこれが見れて
ほんとによかったよ』

繋いだ手を握り返すと
ふわっと恋人繋ぎに変わる。


増「ん、ありがと。俺もよかった」


貴くんの横顔が
アクアリウムのライトアップで
綺麗に染まる。



増「俺、泳ぐの好きなんだよね」

『そうなんだ、水槽の中入る？』

増「いや、こん中はいいや」


なんて冗談を言えるまでになった。


増「Aは泳げる？」

『えっ！わたしかなづち！！
浮かないの！！』

増「え、うっそ(笑)
じゃあ教えてあげるから
今度海の中の魚に会いに行こうか」

『え！それ行きたかったの！』

増「本当？じゃあ計画立てようね」

『楽しみっ』

貴くんといると楽しいし
色んな景色を見せてくれる。

わたしの心は確実に癒えてきている。


増「そろそろ向かった方がいいかな？」

『そうだね、いいとこの席で見たいしね』


そうしてわたしたちは
加藤先輩たちと待ち合わせをしている
イルカショーに向かった。



＿＿＿＿＿＿＿＿


山「すごかったねー！！」


加「イルカって人間の気持ちわかるんだな、」

増「シゲより頭いいかもな」

加「なんだよそれ(笑)」


楽しかった。

貴くん先頭に会場の階段を
登っていると
ショーで水浸しの階段でわたしは滑った。

『きゃーっ』

ｶﾞｼｯ


落ちずに済んだわたしの身体は
後ろにいた加藤先輩に抱き締められていた。


加「お前大丈夫かよ」

増「A大丈夫？」

山「滑るから気をつけてっ」


『すみません…』


久しぶりの加藤先輩の温もりに
わたしの顔は真っ赤になってる。


貴くんが手を差し伸べてくれて
わたしは手を差し出し
滑らないように力がこもるその手で
なんとか上まで上がれた。


『貴くん？』

貴くんはわたしの顔を見ない。

増「あー！Aっ！お揃いの物買お？
ちょっとシゲ、俺ら売店行ってくんね」


加「お、おう」

グイッと引っ張られながら
無言のまま加藤先輩たちをおいて歩き出す。


『た、貴くん？』


人気のないところまできて
わたしはぎゅっと抱きしめられた。



『ちょ、貴くんっ』


増「俺が無理だわ」

強くて逃れられない。

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