戻ってきたスマホ �� ページ42
5月に入り、ミュージカル公演もいよいよ月末に迫ってきていた。
あの日からいっちゃんは元気を取り戻した。BOTのアルバム出す告知もあって、雑誌や音楽番組とか忙しそう。
そんなある日。香菜から、今度の休日に会わせたい人いるから、絶対にあけておいてねと言われた。
そして休日。家に来るというその人。香菜は、私たちを会わせたら、デートに行くからと言われてて、誰だろう？と思ってた。
やってきたのは、映像や写真で見てたあの人。そう鈴木伸之さんだった。
緊張した顔で入ってきた彼は、どこか悲しげだった。私たちをリビングのいすに向かい合わせに座らせると、後は任せたとデートに出かけた香菜。
「あ、あの。プレゼントとカードありがとうございました。ずっとお礼言いたかったけど、遅くなってすみません。それと記憶をなくしてしまって覚えてなくてすみません」
伸之「いや、こっちこそずっと会いに行けなくてごめんな。記憶をなくした事実を受け止めて整理するのに時間がかかった。まず、これをお前に返すな。」
そういって渡されたのはスマホだった。
伸之「ごめん。実は中身見てしまった。お前、パスワードを俺の誕生日のままにしてるから。」
気まずそうに言う鈴木さん。
伸之「このスマホの中にはお前の記憶をなくした日々の全てが入っている。いいことも悪いことも全て。正直、これを返すべきか悩んだ。知らないほうが思い出さないほうがいいものかもしれないとも。そう思うとすぐに会いに行けなかったんだ。ただ一つ言いたいことがあるんだ。俺はお前のこと本当に愛してたし、今でも大好きだ。」
私はおそるおそるスマホを見た。私の日記を読んでみてと。
最後の日記。私と鈴木さんは親友の枠を越えてしまって、私が後悔してること、でも愛していることが書かれていた。さかのぼると、私が彼を求めていることが書かれていて、胸が痛くなった。
いっちゃん、壱馬のことも書いてあった。ふたりとも私に寄り添ってくれてたのがわかる。
私が読んでいる間、鈴木さんは黙って見守ってくれていた。
伸くん。私はそう呼んでいたんだね。
周りの話だけでは見えなかった私の内面的なものがその日記を読んでみてすごくわかった。
気がつくと頬を涙がつたっていた。
泣き出した私を見て、彼は後ろから抱きしめて、頭をなでてくれた。
背中から伝わるぬくもりがどこか懐かしくて胸が苦しい。
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らら - 楽しみです! (2021年5月23日 0時) (
レス) id: c287c87241 (このIDを非表示/違反報告)
HAL(プロフ) - はい(^^)やっと折り返し地点にきました。北ちゃんもまたメインではないけど登場予定です。 (2021年5月22日 16時) (レス) id: d8bc379b6c (このIDを非表示/違反報告)
らら - 第二章きましたね〜!! (2021年5月22日 13時) (レス) id: c287c87241 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：HAL | 作成日時：2021年5月22日 10時
