第三話 朝日を共に ページ27
〈 回想続き 〉
最初はものすごく優しかったんだよ。だけど、ある日変わった。たまたま彼の友達も一緒に遊びに行ったんだけど、その友達からめちゃくちゃ言い寄られたんだよね。それを見た彼が豹変したの。いきなり友達を何発も殴って、その勢いで私も自分以外を見るなって殴られた。そこからは束縛の日々。毎日常に見張られてるような感じだった。私が怯えると、ごめんって謝りながら抱きしめて優しくしてくれるけど、ものすごく怖かった。殴るのは一回だけだったけど、また殴られるかも？とかビクビクしてた。
そんな私を心配したマネージャーが動いてくれて、無事に別れることができたんだけど、しばらくはストーカーされてた。警察も動いて、今は接近禁止になって、彼は芸人諦めて地元に戻ったとも聞いてるから安心してるんだけど。
男の人って、あんなに豹変するんだって思ったら、男性恐怖症になって、もう二度と恋はしないって思った。
事務所にも恋愛絡みの仕事は一切引き受けないでとお願いしてたんだ。
文字「壮絶なAの過去に言葉を失う北人」
泣きながら話すAの頭をなでる北人。
北人「怖かったね。でも、男な人がみんなそうではないよ。少なくとも俺は違うし、俺の仲間だって同じ。だから、みんながそうと決めつけないで。もう恋はしたくないなんて思わないで。Aちゃんは幸せな恋愛をすべきなんだよ。」
A「ありがとう。少なくとも、会ってそんなに経ってないけど、北人くんは違うと信じられる。ずっと大切にしてくれて、私はいつも温かい気持ちでいれてる。今のこの時間も幸せだよ。本当にありがとう。出会えてよかったと心から思ってるんだよ。」
そっとAを抱き寄せる北人。
しばらく無言で抱きしめる。
場面変わって、星空見ながら、お互い好きな人とやりたいことを言い合ってるシーン。並んでよりそって座る2人。その手はいつのまにかつながれていた。
いつの間にか座ったまま寝ているAを自分の肩に寄りかかせながら考え込む北人。
明け方、朝日が昇りそうになる頃合い見て、Aを起こす北人。
昇る朝日を見ながら北人がつぶやいた。
北人「過去は忘れてさ、今日からリセットしよう。」
その言葉を聞いて、Aの中の何かが変わった。
自分から北人の手を取り、つないだ。
しばらく朝日を眺めた後、北人に抱きついた。
A「本当にありがとう。前を向けそうな気がする。」
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作者名：HAL | 作成日時：2023年9月28日 18時
