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堀川が、身を乗り出して手入れ部屋に入ると、
鶴丸さんに向けてそう反論する。
でも鶴丸さんは退く気は無いようで、
彼はスッと目を細める。
鶴丸「Aとて、この本丸には必要だ。
失う訳にはいかない。
俺達には切国を助ける手段がない。
刀剣男士に出来ないなら、Aに頼むと？
それでAを失ってみろ。
それこそ本末転倒じゃないか」
和泉「おい堀川っ」
堀川「ｯ………兄弟の………兄弟の今までを、
貴方が、無かったことにする気ですか」
鶴丸「そうは言っていないっ。
俺は戦えないこの体だからこそ、
きみらの現状の、己に対する無力さもよく分かる。
俺だって切国を助けたいと思っている。
………嗚呼、分かっているとも。
俺はいつだってそうだ………何も出来ない。
だからこそ、何も出来ないから故に、
主である赤神、そしてAだけは
守り通さなければならない。
俺はいつだって、Aの味方につく」
その言葉が胸に残る。
それは、彼の悲願のような言葉にも思えた。
切実で……本気で私の身を案じているような。
鶴丸さんのその言葉に、耳を疑う。
私に、そんな価値があると言うのだろうか。
どうして、そこまで………
赤神「………他に意見は？」
薬研「俺っちは大将達の意向に任せるぜ」
和泉「………俺も主達に任せる」
獅子「俺は、選びたくねぇ………
そうしろってんならそうするけど………」
大千「………鶴丸に賛同する」
浦島「切国さんを助けたい！でも、見習いさんが
居なくなるのは嫌だから、
少し時間使って、他に方法を探したい」
赤神「………ふむ。で、君はどうかね？詩重ちゃん」
ある程度、皆の意見を聞いた後に、
赤神さんはそう私に話を振る。
………私は。
『私は、気持ちとしては切国さんを助けたい。
このままじゃ、眠ったままなのでしょう？
本丸には彼が必要………でも、私にそんな力がある、と
言われても……実感がない。
自信がありません。
赤神さんは、どう思ってますか？』
赤神「………私にはまだまんばちゃんが居る。
長谷部も、まんばちゃんも。どちらが欠けても、
この本丸は成り立たない。
二振りの力を失う事は、今後の本丸にも支障が出る。
正直に言えば、君に託したい」
鶴丸「赤神……っ」
赤神「私が第一に考えるのは本丸だ。
私はここの纏め役であって、ここの主だ。
私情で役目を放り出すわけにはいかない」
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作者名：冷泉 雪桜
| 作成日時：2021年11月23日 20時
