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切国「…………な、にが……」









遠征に、出向いていた時だった。
珍しく主から遠征に出るよう言われ、
俺は隊を率いて、遠征先へ向かった。

その途中………俺の隊は一斉に抜刀し、
互いを殺し合うようになった。
何がどうなっているか、分からない。
いきなりの事で、困惑した。








切国「ぉ、い………!な、にを………
何を、している………!お前達っ!!」


和泉「山姥、切………っ、
本丸、に………戻れ、!」


切国「!?和泉守っ」


和泉「俺達、は………あいつに、命じられ………っ
ぐ………くっ、早く、しろ!

早く、行かない、と………本丸、が」


切国「どう言う事だ、!
何が起こっているんだ!!」


和泉「いいから、とっとと、行けっ!
俺達があんたを、斬る前………に、!!

術に、かかってないのは、
………お前だけなんだよっ!!」









途切れ途切れにそう俺に訴える和泉守。
全員、そう考えていたのか知らないが、
互いを傷つけ合っても、
隊の皆は俺にだけは襲って来なかった。

仲間を置いておけない…………だが……っ









切国「……………………………すまない」

和泉「……嗚呼」









そう言った仲間は、仲間に刺され、折れた。
俺は本丸に急いだ。

仲間に術をかけられた?
誰が、どうして。









“術にかかっていないのは、お前だけなんだよ”









…………まさか。





───────────────





本丸に戻ると、そこは血の雨が降り注いだように
赤く染まった本丸だった。
鉄の匂いが鼻を掠める。

折れた刀身が、あちこち転がっている。
そして未だに聞こえる戦闘の音。
剣がぶつかり合う音に、悲鳴の音。

そんな、俺が………居ない間に………
意地でも、ここに残るべきだった。
こんな事にならない為に、
俺は自分を磨いてきた筈だ。



俺なら、止められた筈だ。
なのに、なのに!!









切国「ぁ………主、は」









主は、どこだ?

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作者名:冷泉 雪桜 | 作成日時:2021年11月23日 20時

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