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切国「主、主っ!落ち着けっ!!」


冬矢「皆っ、きえ、消えないでっ!!
やだよ、嫌だぁ!!」









感情が膨れ上がるのと同時に、
主の力は暴走していった。

徐々に消えていく仲間達。
泣き叫ぶ主の声。


主の力が一気に放出して行けば、
仲間達の力を奪って行った。









長谷「主っ、いけません!お気を確かに!!」


冬矢「来ないで、来ないでっ!!
お願い、長谷部!!僕を殺して殺してっ」









その暴走を止めたのは一振り目の長谷部だった。
俺も勿論止めに入ろうとしたが、
長谷部に止められてしまった。









長谷「主は俺が止める。主の霊力は今、
一斉に解き放っている状態だ。
蓋をしなければならない。

お前は初期刀だろう。お前まで消えては、
主は本当に壊れてしまう」


切国「だが、近づけばあんたまで消えるぞ!」


長谷「俺は主の物だ。
消えたとしても、主を救えるなら本望。
山姥切、お前はここに居なければいけない。
頼めるのは、お前だけだ。

俺はお前を信用している。後を頼む」









そう言って、長谷部は自分の身が消える代わりに、
主をその身をもって鎮めてみせた。
俺はただ、見ている事しか出来なかった。
俺は長谷部のようにはなれなかった。

長谷部は、俺なんかよりもずっと、強い奴だった。
自分の事で精一杯だったのに、
あいつは………


…………俺は、長谷部が羨ましかった。







───────────────





その日から、主は一切部屋から出て来なくなった。
俺が中に入ろうとしても、
主はそれを拒んで結界まで張る始末だ。

壁越しの会話。
本丸にはもう、俺以外の刀剣は居ない。
二人で過ごすにはあまりにも静かで、広すぎる。






切国「主………」









声をかけても、いつも聞こえてくるのは
主の泣く声だった。
啜り泣く声が止む日が無かった時もあった程だ。

何故、俺だけが消えなかったのか未だに謎。
初期刀であったからか、錬度が他の刀剣より
少し上だったからか…………

今となっては分からず終い。
ただ………分かるのは、




今の主を支える事が出来るのは、
“俺しか居ない”と言う事だった。

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作者名:冷泉 雪桜 | 作成日時:2021年11月23日 20時

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