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何あれ……妖魔?でも、切国さんは警戒していない。
そしてあののっぺらぼうも
自身を“主”だと言っている。










『(どう、なって………)』

姫鶴《俺に話しかけず、そのまま聞いて》

『(!)』


姫鶴《彼についてはさっき
“記憶出来ない体”って言ったよね。
のっぺらぼうみたいな曖昧になってる。
曖昧なのは、特に覚えていないって証拠。

名前も、顔も、声も、彼は覚えていない》


『ッ、!!』









そんな。そん、な………
かつての、主は。夢の中でさえも思い出せないなんて。
顔も、声も、気配も、………名前も。









『(で、でもさっきは冬矢本丸って書いてあったのは?)』


姫鶴《さっき本丸の表札見て“ふゆや”って言ってけど、
あれは君が勝手に想像して、具現化しただけ。

冬矢ってのが審神者の名前だろうけど、
彼は覚えていないよ》










………切国さんのバグの重さを甘く見ていた。
まさか、ここまでだったなんて思わなかった。
全ての記憶を、忘れていたとしても………
それでも、あの幼い子供の審神者が彼にとって
良い主だと思っている………

どこかで、その審神者の面影を追っているのに。
なのに………っ!









姫鶴《躊躇うな》

『………っ、』


姫鶴《躊躇うほど、夢に飲まれる。
君がやる事は分かってるよね?

このままだと、君諸共………彼も眠ったままだよ》










姫鶴が私の耳元でそう囁く。
そう。私は………

彼が【幸福】だと思っているこの世界を。
彼を目覚めさせる為に………


【壊さなければならない】──









切国「?どうかしたか」

“大丈夫ですか?”










二人が私の様子がおかしいと気づいて、
心配そうにそう声をかけてくる。

このまま………このまま眠らせてあげたほうが。
切国さんは、幸福のままじゃ無いだろうか。
そんな事を思い始めた。


覚えていない記憶を追って尚、冬矢という審神者を
思い続ける彼の優しさが………辛い。
躊躇う私は、おかしい?
やる事は分かってる。分かってる!
で、も………








“!泣いているのですか?”

『ッ………、ッ、』


“………まんば……いえ、ここの山姥切から聞きました。
本丸の正門前に居たって………

ここに迷って来られたんですか?
帰る場所はありますか?”


『………帰る、場所は……ある』


“なら、帰りたくない………とか?”


『…………』











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作者名:冷泉 雪桜 | 作成日時:2021年11月23日 20時

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