【刀剣乱舞】壱と生きる話 (ページ25)

今日:1 hit、昨日:1 hit、合計:12,441 hit

609pager ページ25

･

信濃《本丸に何か用？？》

『………えっと(どうしよう。なんて説明すれば)』

夢の住民に、特にこの夢を作り出している核である
切国さんに私の存在を否定された場合。
私は無限に広がる夢の中に追放されて、
二度と目を覚まさなくなる、と聞いた。

どうしよう、まだ核である切国さんに会っていないのに。

信濃《む………答えられないの？》

『そ、の………』

信濃《本丸を間違えたりしてない？》

『ｯ…………』

信濃《怪しい……》

厚《おーい、どうしたー！》

信濃《あ。厚ー！》

厚《お？誰だ？？》

信濃《さあ？言いどもるばかりなんだよ》

厚《んんん？あんた誰だ？迷子か？》

嗚呼どうしよう。ここまで勢いで来てしまったから、
全く言い訳とか考えていなかった。
というより、そもそもここはどうなっているの？
仮にここが冬矢本丸で、切国さんの心情を表している。
と、言う事は………彼は忘れていながらも
冬矢本丸で過ごした日々を、少なくとも“幸福”だと
思っているから、この形の夢となった。

でも、この本丸の経歴が分からない。
どう入ればいいんだろう。

困り果て、私は言葉を濁すしかない。
何とかして入れてもらわないと。
切国さんに会いに来たのに。

その時。

??「何の騒ぎだ」

凛とした声がした。
本丸の奥から現れた人影。
それは私が探していた人物だった。

切国さんだ。

知っている声。知っている気配。
紛れもなく赤神本丸の山姥切国広。

しかし雰囲気が違う。
彼は布を被っておらず代わりに鉢巻をしていたのだ。
いつもと違う彼を見て、私は動揺する。
そんな私を置いて、切国さんは私に近づいて来た。

信濃《山姥切さん！
怪しい人がいるんだけど、どうする？》

切国「………何か用か。ここは冬矢本丸だ。
訪問時の報告は無かった筈だが？」

切国さんは僅かに顔をしかめ、私に問う。
今気付いたのだが、ここの本丸の刀剣男士には
気配が全く無いのに対して、切国さんだけ明白に
神気の気配を感じ取れた。

恐らくここの空間が夢だから、だろうが。

本刃といきなり出会ってしまった。
まさかこんな早くに会えるとは思わなかったから。