◇◇ ページ4
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不安定な俺。
道に迷う俺。
それでも、どうしようもなく、
モヤモヤする時は………走っちまう。
遠くへ。………遠くへ。
時々思う。
俺には本当は、帰る場所なんて………
無いんじゃないか、とか。
いやもう、無い方がいいかも知れない。
仲間のお荷物はゴメンだ。
いっそ、誰にも追いつかれないくらい、
遠くへ行った方が───
───────────────
『豊前？』
豊前「！」
ふと、誰かの声で我に返る。
あれ………？俺何してたっけ。
確か、日課のジョギングをしていた。
していて………それから。
辺りを見渡せば、本丸の端まで
どうやら来ちまってたみたいだ。
あぶねぇ……もうすぐ赤神本丸の領域から
外れる所だった。
『豊前………大丈夫？』
豊前「え、………あ、？詩重？」
『ちょ、ちょっと待って………息整える……
やっと………追いつい……ｹﾌｯ……
(というか、義足してるのに足早……)』
豊前「って、悪ぃ！追っかけて来てたのかっ！
全く気づかなかったぜ………
俺走ると周り見えなくなっちまうんだ」
声を掛けてきていたのは見習いの詩重だった。
詩重はようやく俺が足止めて、
振り向いたのに安心したのか、荒くなった息を
深呼吸して整えている。
もしかしたらずっと俺を呼んでたのかも知れない。
悪い事をしちま………
豊前「(いや………待てよ)」
『ﾊｧ………ふぅ。もう、平気。それで、豊前………
………………？豊前、？』
豊前「あんた………俺を追いかけてきたのか」
『え？』
豊前「まだ、朝日も上がってねぇのに」
『たまたま……目が早く覚めて………
顔を洗おうとして、そこで外に出る豊前を見かけて』
豊前「見かけて……見かけただけなのに、
追いかけて来たのか？」
『そう、だけど………』
豊前「なんで………？」
『何故って………【心配】だった、から』
………心配？何をだ？？
『豊前は、たまに………居なくなったりするし、
皆、心配していた。私は篭手切から、
貴方の事を聞いただけだけど………
時々、不安になる。
追いかけないとって、思って。
【帰って来なくなったらどうしよう】って』
その言葉を聞いて、俺の中の何かが………
スッと収まった気がした。
俺は、中途半端で………何処かに行っちまう癖がある。
帰れなくなる………
でも。俺には。
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作者名：冷泉 雪桜
| 作成日時：2021年7月14日 11時
