分岐�� ページ45
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鶴丸「…………、」
七緒「！鶴丸………、？」
鶴丸「……ぅ、……？」
七緒「鶴丸……！鶴丸、嗚呼………良かった……」
ここは政府のとある施設内。
そこで眠らされていた鶴丸国永は目覚めた。
酸素マスクをコウコウと呼吸で曇らせながら、
鶴丸はゆっくりと傍らにいた七重幾緒を
ボンヤリとした瞳で見つめる。
鶴丸「………き、みは、？」
七緒「嗚呼、会うのは初めてだったね。
七緒………あー、いや。
君の場合は名乗ってもいいのかな。
“七重 幾緒”だよ。Aの兄だ」
鶴丸「………A……！！A、！
ぅ、くっ…………！？」
七緒「急に動いては駄目だっ。
君は、祟り神によって体を奪われ、
精神を神隠しされていたんだ。
後遺症もあるし、安静にしていなければ」
鶴丸「神、隠し………？こ、こは」
七緒「………現世、だよ。
君は戻って来れたんだ。元の世界に」
鶴丸「……………」
鶴丸は七緒の言葉に、ようやく力を抜く。
深い深い溜息が漏れ出た。
“戻ってきた”
その言葉が、鶴丸を安堵させる。
血の色しか無かった世界からの帰還。
鶴丸の居る場所は医療器具のようなものに囲まれ、
世界が青っぽく、眩しく思えた。
ようやく落ち着きを取り戻した鶴丸を見て、
七緒が現世であった事を全て話す。
鶴丸「きみのおかげで………
ミシャクジを倒せた訳、だ」
七緒「辛い戦いだったようだね………」
鶴丸「………嗚呼。辛かった………
仲間を、幾度も殺す夢。
愛した者を、殺す夢。
こんな驚きは、二度と味わいたくはない、な。
………未だに、この手に感触がある。
仲間の体温が、自分の手で冷たくなってゆく感覚が、
未だに、こびりついて、いる」
七緒「心配………しないでくれ。
もう、君は大丈夫だよ。大切な者は、
もう誰も君の手で、死なない」
鶴丸「な、ら。いい……
な、あ。Aは………何処に居る？」
七緒「………すまない。助けられなかったよ。
君の状態が安定した頃に、
とある祠付近に………白骨死体として見つかった。
鑑定した結果、Aに間違いは無かったよ」
鶴丸「………そ、う………か」
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作者名：冷泉 雪桜
| 作成日時：2021年4月20日 14時
