分岐�� ページ43
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ここまでは計画通り。
鶯丸は非常に達観しており、
洞察力も長けていた。
それ故に、交渉も上手く行った。
だが、予想外だったのが
鶯丸は【友を救う事】を望んでいた大包平とは違い、
【友を殺す事】を望んでいた。
ミシャクジが予想していなかった世界線を
編み出せたのはその思考の違いからだろうが、
思考の違いに興味が出た。
そうだ。最初は興味本位。
鶯丸だけでなく、七人全員の動向を
俺は観察し始めた。
そして、この体を得て………分かったことがある。
意志。それは、怨嗟や憎悪だけではない。
いつ、何時でも………彼らは必ず希望を見出していた。
勝ち目のない闘いの中でも、
彼らは互いに憎しみ、殺し合いはせず。
協力し、支え合い、生きようとしていた。
俺は、何百年も幽世に幽閉された者達を見て、
観察を続けていたと言うのに。
知らなかった。
彼らはこの希望ない世界で、
共に生きようとしていたのだ。
それは抽象的で、俺には理解出来ないものだったが、
このような可能性があるのかと。
人と、付喪神の可能性を見いだせた気がした。
そして───
“頼んだよ”
“さあ、行け”
“全て、託すぞ”
一人、また一人と………仲間の数が減る中で。
俺の中にも変化が生まれていることにも気づいた。
惜しいのだ。
死なせるには、この者たちはあまりにも惜しい。
───────────────
鶴丸「死の間際の会話とは思えんくらい、
呆気ない話だな」
鶯丸「仕方あるまい。そうする他ないのだからな」
鶴丸「………そうだな」
鶯丸「………もっと生きたかった。お前達と」
最後の選択。
俺は当初の目的通り、ミシャクジにわざと接触し、
ミシャクジを葬る情報を得て、
世界の消滅の為に、彼らを誘導させた。
だが………もう既に決まっている結末を考え、
そこでようやく………お前を理解したのだ。大包平。
“死なせたくない”
“この結末を容認出来ない”
“彼らを、生かしたい”
大包平。お前は、愛していたのだな。
元の世界と、仲間を。
その為に身を呈し、守り抜こうとしたのだな。
ようやく理解できた。
お前の強さを。人の強さを。
己の利益よりも、他者を思う“心”と言うものと
その行動は、デメリットでしかないと思っていた。
違ったのだな。
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作者名：冷泉 雪桜
| 作成日時：2021年4月20日 14時
