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肆佰弐拾陸 ‡白い焔‡ ページ29

Aside







『熱い……』






未だに地鳴りが続く。
ビル群も崩壊を続け、瘴気が濃くなった。

それに加え、彼岸花に近づく度に
空気が熱く感じた。

熱い………溶けそうだ。








鶯丸「大丈夫か」

『何とか………二振りは?』


鶴丸「洒落にならんくらい熱いな。
鉄に溶けそうだ」









付喪神の二振りでも、この空気は灼熱に近いらしい。
本当にこのままあの花に近づけるのだろうか。
しかし行かなければ終わらない。

距離的にもあと少しの所まで来ているのだから。









鶴丸「なあ、思ったが………
Aはまだ俺達が見えているんだよな?」


『う、うん………
?あれ?録はミシャクジにやられてしまったのに、
そう言えば何で二振りが見えてるんだろ………』








私は懐にある、録のページの切れ端を取り出す。
私にはもう人ならざるモノを見る力はない。
この世界線に入ってからは録の力で
皆を認識できていた。
でも録は先程ミシャクジにやられてしまった筈。

どうして………?








鶯丸「………いや、都合がいい。
お前が俺達を認識できているならそれで
構わないだろう。

それよりも、もう時期着くぞ」


『!見て、』









やっとの思いで私達は彼岸花のすぐ近くまで来た。
するとそこにあったのは、白い焔。
命を司る焔。かつての私が扱っていた力。

でも、私が扱っていた焔よりも
断然と大きな焔だった。
この世界に来て、散った者達の命。
それは、静かに眠らせることなく、
永遠に燃やされ続け………生地獄を味わうもの。


………だと、思う。根拠はないけど………
これが本来のミシャクジの姿なのだ。
何千、何万の命の入れ代わりによって
構成されているのだろう。

私はもうこの世界から出れない。
全てが終わっても、結局は私もあの焔の中に……






『(鶴丸と鶯丸には悪いけれど………
私はあの焔に捕らわれたまま、
生まれ変わることも無く、ミシャクジの一部として
焼かれ続けるのかも知れない)』








でも、それで鶴丸達が、
この世界から出れるなら。

私はそれでいい。






Aside〜end〜

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作者名:冷泉 雪桜 | 作成日時:2021年4月20日 14時

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