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肆佰弐拾弐 ページ25

ミシャクジは録を奪われ、
焦る私達を見て、ニヤリと笑う。

そして私達にわざわざ見せびらかすように
録の首を掴み上げる。







御社宮司
《嗚呼、そういう事ですか。
貴方達にとってコレは最後の砦。
切り札と言ったところでしょうか》


録《ッ、ミシャ、クジ…………!》


御社宮司
《しかし、賢い書物だ。
大包平サンを借り真似たようですね。
ただの書物では容易に動けませんし。

その体を貰い受ける為に、大包平サンを利用し、
空白となった暴食の罪人の席を
異端者たる鶯丸サンに入れ替えて
埋め合わせるとは。大したものだ》









ミシャクジは録の存在を認識した時点で
既にこれまでの経緯を把握したらしい。

苦労して得たものが、筒抜けにされた気分だった。


どうする?録は大包平の姿をしていても、
彼自身はただの記録。この世界のデータ。
戦う物として作られてはいないから、
録自身戦えない。

ッ……永劫回帰を失った私も、
以前のように戦う事ができない。
どうにか取り返さないと………!









録《………ッ、貴様の方から俺に触れてくれたこと、
感謝するぞ………》









その時、録がそう告げながら、
己の首を締めるミシャクジの腕を掴む。
録にはまだ策があるらしい。









録《俺は、この世界の記録………
だ、が………貴様にだけは
認識されなかった事もあり、
貴様の情報だ、け……得ることは敵わなかった》


御社宮司
《……!》


録《貴様の、本体は………あの花、だな》









本体?あの花って………まさか。
私は背後を振り返る。

世界の中心に不気味に咲き誇る彼岸花。
あれが、ミシャクジの本体ならば。
あの花を殺せば、全て終わるって事になる。


録は勝ち誇ったように口角を上げる。
その瞬間だけ………大包平を思わせた。









録《あれを、倒せば………我々の勝利だ》


御社宮司
《…………あまり調子に乗るなよ》


録《!》






グシャッ!









だが、祟り神は無慈悲だった。
録はミシャクジの手により
一瞬にして、バラバラに切り刻まれてしまい、
紙吹雪が舞う。

大包平の姿を模した彼は、
私達が助けに入ろうと動くよりも早く、
あっという間にただの紙束となって、
切り刻まれたのだ。









長谷「ッ、クソッ!」

切国「貴様……!」


御社宮司
《やだなぁ。今大ヒント貰ったじゃ無いですか。
ここまで追い込んでくれたんです。
これくらいはしなきゃ、楽しくないでしょう?》









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作者名:冷泉 雪桜 | 作成日時:2021年4月20日 14時

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